三菱一号館美術館

アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《エルドラド アリスティド・ブリュアン》
1892年 リトグラフ、ポスター 150×99cm
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《ディヴァン・ジャポネ》
1893年 リトグラフ、ポスター 81×62cm

収蔵作品

アートセミナー


トゥールーズ=ロートレック ~モーリス・ジョワイヤンコレクション~

三菱一号館美術館では、19世紀末フランスの画家アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック(1864-1901)の版画、ポスターなどのグラフィック作品の一括収集として、世界に現存する最も重要なもののひとつである、モーリス・ジョワイヤンのコレクションを所蔵しています。このコレクションに比肩されるものは、フランス国内ではパリ・フランス国立図書館版画部、アルビ市トゥールーズ=ロートレック美術館に所蔵される収集品の他に見当たりません。

コレクションの特徴

このコレクションの最大の特徴として、その正統性が挙げられます。収集作品中の大部分に押されたロートレックの頭文字“HTL”を組み合わせた赤いモノグラム印は、ロートレックの死後、その親しい友人でジャーナリスト、画廊主でもあり遺産管理者となったモーリス・ジョワイヤン(1864-1930)によって押されたもので、ロートレックが死の直前まで手元に所有していた貴重な作品であることを示しています。これ以後刷られた作品にはこの印が押されることはありませんでした。
さらにこの収集品を受け継いだのは、ジョワイヤンの秘書であり、ロートレックの研究者となったマルグリット・ドルチュ夫人でした。内務官僚であった夫とともに、優秀な事務能力を持った彼女は、独身であったジョワイヤンの死後、その仕事を継承し、ロートレック作品のカタログ編纂を遂行、ロートレック友の会の会長なども務めました。このコレクションは、その後ドルチュ夫妻の娘に受け継がれ現在に至った貴重なもので、1996年に初めてその存在が公にされ展覧会として公開された後は、再び一般の眼に触れることなく秘蔵されていました。

200数十点を数えるその内容は驚くべきもので、ロートレックがその短い生涯に制作したグラフィック作品の大部分が、大変良い状態のままに保存されています。石版画やポスターなどのグラフィック作品はロートレック芸術の真骨頂とも言える分野であり、日本の浮世絵などの影響を強く受けながら、現代芸術にも通じるモダニズムを実現したこの稀有な作家の本質的な部分と言えます。

本コレクションは、元の所蔵家およびフランス政府が一括した保管を望み、フランス国外の美術館、とりわけロートレックと芸術上の深い縁を持ち、なおかつ愛好家も多いにもかかわらず一括収集が存在しない我が国に打診をしてきたもので、このような貴重なコレクションが日本にとどまり、三菱一号館美術館の最初の作品コレクションとなったことは、当館の将来の方向性を示す意義深い一歩であると考えます。

コレクション所蔵の意義

ロートレックと日本
ロートレックは日本の芸術を称賛し、彼自身も浮世絵の収集家でした。歌麿の美人画、写楽の役者や踊り子、北斎や広重の風景など、その主題や構図、画法などにおいて多大な影響を受け、それにより西洋の版画芸術に革新を与えるような作品を生み出しました。また、日本の刀の鍔からインスピレーションを得たと思われる、名前の頭文字HTLを使ってデザインしたモノグラムは、その優美な円形と字体にも日本的な要素が感じられます。芸術的に日本に深い縁のあるロートレックの作品は、同時に日本の人々に大変愛され、深い理解と共感を与えるものです。

ロートレックと三菱一号館の時代
ロートレックが生き芸術活動を行った時代は、まさに三菱一号館がコンドルの設計によって建設され、丸の内のオフィスビル第一号として活躍していた時代そのものです。モンマルトルの都市生活の多様性を描き出すロートレックの作品は、丸の内という都市の美術館を世界につなげ、そこに新たな方向性を与えるための比類ないコレクションであると言えます。
三菱一号館美術館では、今後展覧会などさまざまな機会を通じて皆様に、この素晴らしいコレクションに親しんでいただきたいと考えています。

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「トゥールーズ=ロートレック美術館」との姉妹館提携について

アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックの作品を所蔵する当美術館は、2009年4月8日、画家の生地、フランス南西部、ミディ・ピレネー地域圏タルン県アルビ市にある「トゥールーズ=ロートレック美術館」との姉妹館提携に調印しました。
「トゥールーズ=ロートレック美術館」(以後「ロートレック美術館」)は、アルビ市の中心地に位置し、世界各国から年間16万人超の入場者を数え、アルビ市の外交の重要な役割を担っています。建物であるベルビー宮は、13世紀~14世紀に城塞として建造され、その後しばらく歴代アルビ司教の居城として使われていました。ロートレックの没後、画家の親友でありロートレック作品を数多く所蔵していたモーリス・ジョワイヤンの尽力により、1922年7月30日に美術館として開館、1,000点以上の作品を所蔵しています。三菱一号館美術館が所蔵するロートレックの作品もモーリス・ジョワイヤンのコレクションに由来し、「ロートレック美術館」とは強い親和性で結ばれています。「ロートレック美術館」との提携内容は下記の通りです。

  • 展覧会の企画、研究、文化的交流
  • 展覧会及び文化イベントの開催
  • 美術館およびその周辺地域のプロモーション
  • 関連商品の企画・制作・販売
トゥールーズ=ロートレック美術館との調印式の様子

トゥールーズ=ロートレック美術館との調印式の様子
(2009年4月8日、アルビ市にて)
(中央)ダニエル・ドゥヴァンク ロートレック美術館館長
( 右 )高橋明也 三菱一号館美術館館長

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丸の内アートサロン-特別編-画家・ロートレックについて語る

《ムーラン・ルージュ、ラ・グーリュ》
1891年 リトグラフ、ポスター 195×122 ㎝
三菱一号館美術館蔵

丸の内アートサロンは、2010年4月、丸の内に新たに誕生する「三菱一号館美術館」開館を控え、文化に触れることができる街「丸の内」を目指し、アートセミナーを開催しております。
今回は三菱一号館美術館と姉妹館提携を行っている、フランス、アルビにあるロートレック美術館の館長であり、11月10日よりBunkamuraザ・ミュージアム(渋谷)で開催する「ロートレック・コネクション 愛すべき画家をめぐる物語」展監修者も務められたダニエル・ドゥヴァンク館長の来日を記念して画家トゥールーズ=ロートレックについて展覧会のお話も交えて語って頂きます。姉妹館提携に関する両館長の特別対談も予定しています。
開催日時 11月11日(水)19:00~20:30(受付18:40~)
開催場所 M+(エムプラス)(千代田区丸の内2-5-2三菱ビル10F)
参加費 1,000円(三菱一号館竣工記念展チケットつき)
定員 120名(先着順受付)
出演者 講演者:ダニエル・ドゥヴァンク(ロートレック美術館館長)
対談者:高橋明也(三菱一号館美術館館長)
主催 三菱地所(株)
協力 三菱一号館美術館

【講師プロフィール】

ダニエル・ドゥヴァンク
トゥールーズ=ロートレック美術館(フランス南西部、タルヌ県アルビ市)館長。
ブロワ美術館、リヨン美術館を経て、1987年より現職。以来、アルビ出身の画家であるトゥールーズ=ロートレックに関する展覧会をフランス国内外において数多く手がけてきた。またロートレックに関する著書も多数あり、2001年にはラングドックのアカデミーより美術書部門において文学賞を授与されている。
1994年、『ル・ヌーヴェル・エコノミスト』誌において「今年の人物」に選出され、1998年には、フランス政府より国家功労勲章シュヴァリエの叙勲を受けた。

【受付方法】

※2009年10月30日(金)をもって、応募受付を終了とさせていただきました。

【展覧会情報】

「ロートレック・コネクション 愛すべき画家をめぐる物語」(Bunkamura ザ ミュージアム)
開催期間: 2009年11月10日(火)~12月23日(水・祝)※会期中無休

三菱一号館竣工記念「一丁倫敦と丸の内スタイル展」(三菱一号館)
開催期間: 2009年9月3日(木)~2010年1月11日(月・祝)
月曜日休館(但し、月曜祝日の場合は翌火曜日が休館)

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