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三菱一号館美術館

館長対談

館長対談 vol.14

ゲスト

雨宮塔子さん

館長対談 vol.13ゲスト 雨宮エリーさん

女性にとってのジュエリーは、理想の女性像を映し出す鏡
— 雨宮塔子

女性の多くは、キラキラ好き!?男性はジュエリーを見て喜ぶ女性を見るのが好き!?
— 高橋館長

高橋雨宮さんにとってのジュエリーとは、どんな存在ですか?

雨宮女性にとって、ジュエリーは自分が追い求めたい女性像を映し出す鏡のようなものだと思います。理想の女性像をイメージできるジュエリーを身に付けることで、自分を導いてくれるような存在じゃないでしょうか。

高橋正直いうと、僕にはそのへんのイメージはあんまりわからないんですよね。とくに自分で宝飾品をつける趣味はないから。でも、今回の展覧会の準備を通して、西洋人にとっての「光の感覚」に改めて気づかされました。

雨宮「光の感覚」といいますと?

高橋ヨーロッパ、とくに北方の人は、光に対する思い入れが日本人と決定的に違うなと気づいたんです。フェルメールやレンブラントの絵を見ていてもそうですが、西洋美術は、光をどうとらえるか、光を通して浮き上がってくる形や色彩をいかに表現するのかをつねに考えて発展してきた芸術です。光そのものに根本的に惹かれているんでしょうね。宝飾品はその光の表現の際たるものではないかと思うんですよ。

雨宮わかるような気がします。光そのものであるジュエリーを身にまとうことで、光の反射を受けて、女性はより美しく見えるんですね。だからこそ、若いときよりも歳を重ねたマダムの肌の上のほうがジュエリーはよく似合う。若いときは光にあふれているので、トゥマッチになってしまうような(笑)。

高橋でも、老いも若きも皆さん、基本的にキラキラ好きですよね(笑)。そのキラキラ感こそが、西洋の宝飾品に特有のものだなと。日本の宝飾品というと翡翠とか、サンゴとか真珠などは、いわゆる“キラキラ感”とは、少し違うなと思うんです。

雨宮ええ、今回の展覧会でも、きっと会場でたくさんの女性が作品をご覧になって “アガる”と思います。でも、男性にとって、ジュエリーを見てテンションが高くなっている女性は怖くありませんか? 僕、買わされるんじゃないかって(笑)。

高橋いや、男性はジュエリーを見てそんな風に喜んでいる女性を見るのが好きなんじゃないかな。

雨宮それはヨーロッパ的な男性の意見です。素敵です! ヨーロッパの男性は喜ばせるのがとても上手ですから。それは、レディ・ファーストと同じように、教育によってもう身体にしみこんでいる感覚ですよね。

高橋それはともかく、ショーメはフランスの宝飾品を代表するメゾン。パリで生活されていた雨宮さんが実感されているように、フランスでは、現代に至るまで、宝飾品が生活や文化と深く結びついています。別格のメゾンとはいえ、正倉院宝物のような“宝物”とはだいぶ違う。きっと展示作品を通して、宝飾品がいろいろなレベルでいかに人間の生活に深く結びついているかをご覧いただける貴重な機会になると思います。

雨宮とくに、ショーメのような特別なメゾンは、さまざまなセンスや趣味をもつ注文主がより高度の注文をすることによって、職人技もどんどん磨かれていったのでしょうね。それがフランスの芳醇な文化を作り上げてきたのだと思います。ぜひ、そうした部分も楽しみに拝見したいです。それから、館長には、足を運ばれる女性たちが喜んでいる姿をご覧になって、展覧会成功の喜びを噛みしめていただきたいです(笑)。

高橋はい、がんばります(笑)。

雨宮塔子
フリーキャスター、エッセイスト。
1970年東京生まれ。成城大学文芸学部英文学科卒業。1993年、TBS(株式会社東京放送)に入社。1999年TBSを退社し、単身、パリに渡り、フランス語、西洋美術史を学ぶ。2016年7月「NEWS23」(TBS)のキャスターとして17年ぶりにレギュラー番組に復帰。エッセイストとしても『パリに住むこと、生きること』(文藝春秋)等著書多数。

館長対談

女性にとってのジュエリーは、理想の女性像を映し出す鏡
雨宮塔子

女性の多くは、キラキラ好き!?男性はジュエリーを見て喜ぶ女性を見るのが好き!?
高橋館長

高橋雨宮さんにとってのジュエリーとは、どんな存在ですか?

雨宮女性にとって、ジュエリーは自分が追い求めたい女性像を映し出す鏡のようなものだと思います。理想の女性像をイメージできるジュエリーを身に付けることで、自分を導いてくれるような存在じゃないでしょうか。

高橋正直いうと、僕にはそのへんのイメージはあんまりわからないんですよね。とくに自分で宝飾品をつける趣味はないから。でも、今回の展覧会の準備を通して、西洋人にとっての「光の感覚」に改めて気づかされました。

雨宮「光の感覚」といいますと?

高橋ヨーロッパ、とくに北方の人は、光に対する思い入れが日本人と決定的に違うなと気づいたんです。フェルメールやレンブラントの絵を見ていてもそうですが、西洋美術は、光をどうとらえるか、光を通して浮き上がってくる形や色彩をいかに表現するのかをつねに考えて発展してきた芸術です。光そのものに根本的に惹かれているんでしょうね。宝飾品はその光の表現の際たるものではないかと思うんですよ。

雨宮わかるような気がします。光そのものであるジュエリーを身にまとうことで、光の反射を受けて、女性はより美しく見えるんですね。だからこそ、若いときよりも歳を重ねたマダムの肌の上のほうがジュエリーはよく似合う。若いときは光にあふれているので、トゥマッチになってしまうような(笑)。

高橋でも、老いも若きも皆さん、基本的にキラキラ好きですよね(笑)。そのキラキラ感こそが、西洋の宝飾品に特有のものだなと。日本の宝飾品というと翡翠とか、サンゴとか真珠などは、いわゆる“キラキラ感”とは、少し違うなと思うんです。

雨宮ええ、今回の展覧会でも、きっと会場でたくさんの女性が作品をご覧になって “アガる”と思います。でも、男性にとって、ジュエリーを見てテンションが高くなっている女性は怖くありませんか? 僕、買わされるんじゃないかって(笑)。

高橋いや、男性はジュエリーを見てそんな風に喜んでいる女性を見るのが好きなんじゃないかな。

雨宮それはヨーロッパ的な男性の意見です。素敵です! ヨーロッパの男性は喜ばせるのがとても上手ですから。それは、レディ・ファーストと同じように、教育によってもう身体にしみこんでいる感覚ですよね。

高橋それはともかく、ショーメはフランスの宝飾品を代表するメゾン。パリで生活されていた雨宮さんが実感されているように、フランスでは、現代に至るまで、宝飾品が生活や文化と深く結びついています。別格のメゾンとはいえ、正倉院宝物のような“宝物”とはだいぶ違う。きっと展示作品を通して、宝飾品がいろいろなレベルでいかに人間の生活に深く結びついているかをご覧いただける貴重な機会になると思います。

雨宮とくに、ショーメのような特別なメゾンは、さまざまなセンスや趣味をもつ注文主がより高度の注文をすることによって、職人技もどんどん磨かれていったのでしょうね。それがフランスの芳醇な文化を作り上げてきたのだと思います。ぜひ、そうした部分も楽しみに拝見したいです。それから、館長には、足を運ばれる女性たちが喜んでいる姿をご覧になって、展覧会成功の喜びを噛みしめていただきたいです(笑)。

高橋はい、がんばります(笑)。

プロフィール

雨宮塔子
フリーキャスター、エッセイスト。
1970年東京生まれ。成城大学文芸学部英文学科卒業。1993年、TBS(株式会社東京放送)に入社。1999年TBSを退社し、単身、パリに渡り、フランス語、西洋美術史を学ぶ。2016年7月「NEWS23」(TBS)のキャスターとして17年ぶりにレギュラー番組に復帰。エッセイストとしても『パリに住むこと、生きること』(文藝春秋)等著書多数。