主催:三菱一号館美術館
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
協賛:DNP大日本印刷
協力:日本航空、ヤマト運輸
開催概要
三菱一号館美術館は2010年4月の開館以降、40本の企画展を開催してきました。2023年4月からは設備メンテナンスのために長期休館していましたが、2024年11月23日に再開館いたします。これまでの活動を踏まえ、今後も東京・丸の内のランドマークとして、人々が集い、語り合い、新たな発見があるような魅力ある展覧会を継続して開催していきます。
美術館は、時代の変化に応じて、常にその活動を見直す必要があります。そのために、時代を映す鋭敏なアーティストの感性を借りることが、ひとつの最善策であると考え、2020年の開館10周年記念展として企画された「1894 Visions ルドン、ロートレック」の開催に際し、現代フランスを代表するアーティストのソフィ・カル(1953- )氏を招聘する予定でした。しかし、世界的な新型コロナウイルス感染症の流行により、ソフィ・カル氏は来日を見送らざるをえず、現代アーティストとの協働というプロジェクトは再開館後に持ち越されることになりました。
リニューアル・オープン最初の展覧会となる「再開館記念『不在』―トゥールーズ=ロートレックとソフィ・カル」では、当館のコレクションそして展覧会活動の核をなすアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック(1864-1901)の作品を改めて展示し、そこにソフィ・カル氏を招聘し協働することで、当館の美術館活動に新たな視点を取り込み、今後の発展に繋げていくことを目指します。
ソフィ・カル氏は長年にわたり、「喪失」や「不在」について考察を巡らせていることから、今回の協働にあたり、「不在」という主題を提案されました。一方、トゥールーズ=ロートレックは、「不在」と表裏一体の関係にある「存在」について興味深い言葉を残しています。
「人間だけが存在する。風景は添え物に過ぎないし、それ以上のものではない。」
1897年の旅行中、アンボワーズの風景に感動していた同行者に対して発せられたこの言葉に象徴されるように、トゥールーズ=ロートレックは、生涯にわたって人間を凝視し、その心理にまで踏み込んで、「存在」それ自体に迫る作品を描き続けました。
トゥールーズ=ロートレックも彼が描いた人々も「不在」となり、今ではその作品のみが「存在」しています。ソフィ・カル氏から投げかけられた「不在」という主題を通して、私たちは改めて、当事者が関わることができない展覧会や美術館活動の「存在」について考えていきたいと思います。
基本情報
- 展覧会タイトル
- 再開館記念「不在」
―トゥールーズ=ロートレックとソフィ・カル
- 会期
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2024年11月23日(土) ー
2025年1月26日(日)
- 開館時間
-
10:00-18:00
(祝日を除く金曜日と会期最終週平日、第2水曜日は20時まで)
※入館は閉館の30分前まで
※年末年始の開館時間は美術館サイト、SNS等でご確認ください
- 休館日
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月曜日、 年末年始[12/31と1/1]
ただし、トークフリーデーの[11月25日・12月30日]と1月13日・20日は開館
- 会場
- 三菱一号館美術館
- 観覧料金
-
一般 2,300円
大学生 1,300円
高校 1,000円
小・中学生 無料※価格はすべて税込
※障がい者手帳をお持ちの方は半額、付添の方1名まで無料
※前売りチケットほか、お得なチケットについて詳しくはチケット情報をご覧ください●併せて、小展示「坂本繁二郎とフランス」もご覧になれます。
- 主催
- 三菱一号館美術館
- 後援
-
在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
- 協賛
- DNP 大日本印刷
- 協力
- 日本航空、ヤマト運輸
Toulouse-Lautrec
ロートレック
1864年、中世に遡る名門伯爵家に生まれたアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック(1864-1901)は、1891年に初めててがけたポスター《ムーラン・ルージュ、ラ・グーリュ》で成功を収めます。彼はポスター制作を通して習得したリトグラクの技法を用いた多彩な版画作品や油彩画なども数多く残していますが、ポスター画家としての評価のみが先行し、フランスの国公立美術館はロートレックの没後も、彼の油彩作品を受け入れませんでした。美術史におけるロートレック「不在」のこの時期に、彼の存在全体を評価する契機を作ったひとりが、友人で画商でもあったモーリス・ジョワイヤン(1864-1930)です。彼は遺族と協力しながら、1902年のフランス国立図書館へのロートレック版画作品の寄贈と、1922年のアルビのロートレック美術館開館に尽力しました。
三菱一号館美術館は、ジョワイヤンが守り伝えてきた作家の遺産を含む作品群(モーリス・ジョワイヤン・コレクション)のうち、ヴァージョン違いを含むポスター32点のみならず、刷りの異なる2点の《ロイ・フラー嬢》(1893年)をはじめとする主要版画作品、そしてアンリ=ガブリエル・イベルス(1867-1914)と共作した『カフェ・コンセール』(1893年)や、『彼女たち』(1897年)といった代表的版画集を所蔵しています。これらすべてとともに本展では、フランス国立図書館から借用した版画作品11点を加えた136点により、「時代の記録者」ロートレックの作品を、「不在」とその表裏の関係にある「存在」という視点から、見直してみたいと考えています。
- プロフィール
- 1864年にフランス南部アルビに生まれたアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックは、幼い頃から絵を描くことを好んだ。1878年5月に椅子から転倒し左大腿骨を、翌年8月に溝に転落し右大腿骨を骨折する不運に見舞われ、その長期療養中に素描制作に没頭する経験を経て画家を志す。両親の知人でもあった動物画家ルネ・プランストーに師事し、その紹介でアカデミー画家レオン・ボナ、次いでフェルナン・コルモンに学び、伝統的な絵画・素描技法を身につける。この間、エミール・ベルナールならびにフィンセント・ファン・ゴッホとの出会いを通じ、前衛的作家が主宰するアンデパンダン展などに参加。絵画のみならず、当時それと同列に見なされ得なかったポスターをも積極的に出品。その斬新な表現によりポスター芸術の代表的革新者と目されるも、1901年に36歳で夭逝した。
Sophie Calle
ソフィ・カル
新型コロナウイルス感染症の広がりによって、2020年の展示が中止になってから4年。その「不在」を経て、三菱一号館美術館は現代フランスを代表する美術家ソフィ・カルとの協働を実現します。
ソフィ・カルは、制作活動を始めた1979年以降、自伝的作品をまとめた《本当の話》(1994年)、自身の失恋体験による痛みとその治癒を主題とした《限局性激痛》(1999年)など、テキストや写真、映像などを組み合わせた作品を数多く生み出してきました。また、「見ることとはなにか」を追求したシリーズ『盲目の人々』(1986年)、『最後に見たもの』(2010年)などを通して、美術の根幹に関わる視覚や認識、「喪失」や「不在」についての考察を行っています。自分自身、もしくは他者とのつながりをモティーフとし、現実と虚構のはざまを行き交う大胆で奇抜な制作は、常に驚きに満ちており、見る者の心に強い印象を残します。
本展では、ソフィ・カルの多くの作品に通底する「不在」をテーマに、作家自身や家族の死にまつわる『自伝』や、額装写真の全面にテキストを刺繍した布が垂らされ、その布をめくると写真が現れる『なぜなら』など、テキストと写真を融合した手法で構成された代表的なシリーズを紹介します。美術館における絵画の盗難に端を発したシリーズ『あなたには何が見えますか』(2013年)やピカソ(作品)の不在を示す『監禁されたピカソ』(2023年)、さらに《フランク・ゲーリーへのオマージュ》(2014年)や映像作品《海を見る》(2011年)など、ソフィ・カルの多様な創作活動をご覧いただきます。
- プロフィール
- 1953年、パリ生まれ。10代の終わりから7年もの間放浪生活を送り、26歳でパリに戻る。その頃より制作を始め、1980年から展覧会へ出品。以後、ロンドンのテート・ギャラリー(1998年)やパリのポンピドゥーセンター(2003年)のほか、各国の主要美術館にて個展を開催。第52回ヴェネツィアビエンナーレ(2007年)フランス館代表のアーティストに選出された。近年では、パリ狩猟自然博物館(2017年)、マルセイユの5博物館(2019年)、パリのピカソ美術館(2023年)の各館で個展を開催し大きな話題となった。日本では、原美術館にて開催された「限局性激痛」展(1999年)や豊田市美術館(2003年)での個展開催のほか、「最後のとき/最初のとき」展が原美術館、豊田市美術館、長崎県美術館に巡回(2013-2015年)。また、2019年には渋谷スクランブル交差点の街頭ビジョンにて映像作品《海を見る》(2011年)が上映された。日本語に翻訳された著書に『本当の話』(平凡社、1999年)がある。
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- ※当館専用の駐車場はございません。
- ※駐車場は、丸の内エリア共通サービスで便利でお得な丸の内パークインをご利用ください。