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もっと知りたい、(さらに番外編) 「何が行われているの?休館中の美術館」

三菱一号館美術館は、目下、10月24日に始まる「1894 Visions ルドン、ロートレック展」の準備のため休館中です。展覧会開幕まで少々お待たせしておりますので、前回の「画家が見たこども展」の終了後、美術館内では何が行われていたかをお教えしましょう。

皆さんは、「展覧会と展覧会の間がどうしてひと月もあるの?」、「なぜ休館期間がこんなに長いの?」と思ったり、ちょっと気になったりしたことはありませんか?休館中の美術館は外から見ると静かに見えますが、実は、館内は大忙しなのです。

展覧会が終了すると、翌日から「撤収作業」が始まります。そのため、通常は展覧会最終日の翌日、もしくは最終日の夜から、「撤収作業」の準備が開始されます。
まずは、館内の設備に傷がつかないよう、廊下や展示室に養生して保護します。次に、「撤収作業」ではクーリエ(気になる方はこちらの記事をご覧ください。)、つまり作品の随行者が作品を借りた美術館からやってきます。

クーリエと美術館の学芸員を中心としたメンバーは、お互いに協力しあい、美術輸送のプロの手を借りて作品を壁から作品を下ろします。そこに修復家も加わり、綿密に作品の点検作業を行うのです。これは、作品や作品を守る額の状態が美術館に到着した時と変わっていないか、傷がついたり、絵具が剥落したりしていないか、といったことを調査するためです。

作品点検で作品の状態が問題ないと判断されると、特殊な加工をした輸送用の箱に収める作業に移ります。海外の作品は通常、飛行機に乗ってやってくるので、寒い上空でも温度や湿度ができるだけ変化しないようにする必要があるのです。箱に入れるのにも一苦労。作品が到着した時と同じ状態になるよう、特殊なシートに包んだり、厚めのビニールでくるんだり、慎重には慎重を期して作品を梱包します。いざ輸送用の箱に収める際も、作品の表面を上に向けるか下に向けるかも重要で、あれこれ気を配らねばなりません。作品が箱の中にきれいに収まったら、今度は箱のふたをビスで留めて箱を安全な場所に置く…。こうした一連の作業を、全ての作品について、クーリエと美術館の学芸員が共同で繰り返し行います。

こうして、作品の梱包作業が終了すると、やはりクーリエと学芸員を中心とした美術館の職員が、美術輸送のプロとともに美術品をそれぞれの国へ送り出すのです。クーリエも作品と共に美術館を去ります。

休館中の作業は作品に関わることだけではありません。作品を掛けていた壁や作品解説のパネルなど、展覧会で使用された施工物も全て解体して撤去し、お部屋を空(から)にします。この作業にも数日かかります。諸々の施工物がなくなった後には、清掃のプロが綿密な清掃を行います。同時に、空調や電気など諸々の設備のメンテナンスもこの期間に集中して行っているのです。このように、展覧会と展覧会の間の期間には、館内ではさまざまな作業が行われており、「撤収作業」と次の展覧会に向けた「展示作業」を含め、全てやり終えるには、ひと月くらいはかかってしまうのでした。

…というわけで、現在は「展示作業」が行われており、10月24日には皆さまを展示室にお迎えできるというわけです。

次回の展覧会は、当館の10周年を記念する最後の企画。オディロン・ルドンとアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックを中心とした19世紀末ワールドがご覧になれます。「1894 Visions ルドン、ロートレック展」をどうぞお楽しみに!

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