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本展の見どころHighlight

1894年を読み解く

色彩の開花―ルドン

オディロン・ルドン(1840-1916)は1840年、フランスの南西部の町ボルドーで生まれました。 印象派の画家のモネと同年の生まれです。 版画家としてデビューしたのは1879年、リトグラフの作品集『夢のなかで』でのことでした。 39歳で最初の作品集を出版するのは、決して早いとはいえませんが、ルドンの場合には、個性を固めるための準備期間となりました。 同世代の印象派の目が外界に向けられていたのに対し、内面の夢と想像の世界から多くのものを得ました。 1894年の個展で初めて色彩の作品を発表した後には、徐々に黒から色彩へと移ります。

  • 石版画集『夢のなかで』
    《VIII . 幻視》 
    1879年 リトグラフ/紙 
    27.4×19.8cm
    三菱一号館美術館蔵

  • 石版画集『ゴヤ頌』
    《II. 沼の花、
    悲しげな人間の顔》
    1885年 リトグラフ/紙 
    27.8×20.6cm
    三菱一号館美術館蔵

1894年の個展ではじめて色彩の作品を発表したルドンは、木炭と石版画を使った「黒」の作品と並行して、パステルや油彩をつかった作品を制作し始めます。 1900年にブルゴーニュ地方の蒐集家ドムシー男爵(1862-1946)の依頼を受けて、男爵の城館の食堂の装飾を描きました。 19世紀末にはリトグラフが発展し、ルドンは独自の芸術表現を築きました。 また、パステルでも技術革新を受けて、色数が急速に増えています。 大規模な装飾壁画は、通常であれば油彩やデトランプ(当時頻繁に使われた、にかわ膠または卵に顔料を混ぜた彩色法)が使用されますが、ルドンは《グラン・ブーケ(大きな花束)》をカンヴァスの上にパステルで描きました。ルドンは、先行するパステルや木炭の使い方を参考にして独習しました。

  • 《ポール・ゴビヤールの肖像》 
    1900年 パステル/紙 
    52.0×46.0cm 岐阜県美術館蔵

19世紀末はまた、装飾芸術運動が盛んでしたが、その後20世紀になると徐々に衰退をしていきます。 ルドンが描いた《グラン・ブーケ》や《黒い花瓶のアネモネ》は、この運動の掉尾を飾る作品として位置付けることができます。

  • 《青い花瓶の花々》
    1904年頃 パステル/紙 
    47.0×60.5cm 岐阜県美術館蔵

  • 《神秘的な対話》
    1896年頃 油彩/画布
    65.0×46.0cm 
    岐阜県美術館蔵

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