全員巨匠!フィリップス・コレクション展全員巨匠!フィリップス・コレクション展

2018.10.17(水) → 2019.2.11(月・祝)2018.10.17(水) → 2019.2.11(月・祝)

フィリップス・コレクションは、日本との親密な関係を再び新たにすることができ、また今回の重要な展覧会において、素晴らしい三菱一号館美術館と初めて協力できることを、大変嬉しく思っています。とても大切な作品ばかりなので、必見の作品をひとつだけ選ぶのは困難です。

今回の展覧会に出品される印象派やポスト印象派、表現主義などの芸術家による絵画と彫刻の多くは、当美術館の創設者であるダンカン・フィリップスが収集したものです。見どころとしては、ドガの《稽古する踊り子》やファン・ゴッホの《道路工夫》をはじめ、クロード・モネ、ポール・セザンヌ、エドガー・ドガ、フィンセント・ファン・ゴッホの人気作品があげられます。アーティストごとにあげるなら、オノレ・ドーミエの《蜂起》と《三人の法律家》、ピエール・ボナールの《開いた窓》と《棕櫚の木》、パウル・クレーの《養樹園》と《画帖》、ジョルジュ・ブラックの《円いテーブル》と《驟雨》などがあります。
19世紀に建てられた私達の美術館のこぢんまりとして親しみやすい展示室とよく似た三菱一号館美術館の美しい展示室で、当美術館の珠玉の所蔵作品を展示することを楽しみにしています。

ダンカン・フィリップスはさまざまな点でパイオニアでした。1918年にフィリップスを設立して法人とし、1921年に一般公開しました。近代美術とその情報源に特化した米国で最初の美術館だと考えられています。

フィリップスはくつろげる親密な環境で美術を鑑賞することが大切だと考え、自分の美術館を美術愛好家の憩いの場とみなしていました。最初に設けたギャラリーを「実験場」と呼び、ヨーロッパとアメリカの印象派の画家と存命中の画家の絵画を見ることができる場所にしたのです。
フィリップスは新しく購入した作品を以前からの所蔵作品の隣に展示し、新鮮な効果をあげました。その際、美的な感受性に共通のものがある作品を並べることがよくありました。
フィリップスは同時代の美術をサポートした最初の美術館長のひとりであり、芸術家たちをよく知り、交流しただけでなく、金銭的な援助を提供し、画家にとって最初の重要な買い手になることも多かったのです。例えば、アメリカで最初にボナールやブラック、ニコラ・ド・スタールの作品を購入し、彼らの個展を開催した美術館はフィリップス・コレクションです。フィリップスは冒険心に富んでおり、質の高い傑出した作品を収集しました。
当美術館は今でも同じミッションを追求しています。

フィリップス・コレクションは近現代の美術作品を4,000 点以上所蔵しており、伝統と個性、驚きの詰まったコレクションは今も拡大を続けています。
常設展示は頻繁に展示替えし、特別展示もありますので、来館するたびに何かしら新しい体験をしていただけます。

今回の展覧会を“A Modern Vision”と題したのは、出品される作品が、表現的で色彩豊かな絵画を好んだフィリップスの信念と感性を反映しているからです。展覧会をご覧いただければ、ヨーロッパ美術の収集に関するフィリップスの姿勢を知ることができます。
フィリップスは、過去と現在の関係を重視し、個々の芸術家の声に大きな価値を置いていたのです。

ダンカン・フィリップスが最初に訪れた外国は日本でした。
1910年のことです。その際フィリップスは強い感銘を受け、浮世絵が近代西洋の芸術家に大きな影響を与えたことを知りました。

フィリップスは、日本の浮世絵師たちがマネやモネ、モリゾ、ドガ、ゴーギャン、ファン・ゴッホ、ボナール、ヴュイヤール、マティスなどの先駆けになったと記しています。これらの巨匠はすべて、今回の展覧会でその作品をご覧いただけます。
フィリップス・コレクションが100周年を迎える本年、名高い三菱一号館美術館との初の共同プロジェクトによって、国境を超えて人々を結びつける芸術の力を示すことができ、胸躍る思いです。

フィリップス・コレクションと三菱一号館美術館は、世界有数の大都市の中心部に位置し、それでいて過去の芸術と今日の芸術を繋げる美術館として大きく共鳴し合っています。

私が、初めてフィリップス・コレクションを訪れたのは1990年代に遡ります。前職の国立西洋美術館時代も作品の借用等で関わりがありましたが、三菱一号館美術館の館長に就任してからも、2013年の『シャルダン』展、2018年の『ルドン─秘密の花園』展と、絶えず幅広い年代とジャンルの画家の秀作をお借りしてきました。
このような交流の下地の上で、赤レンガの外観、ヒューマンスケールの展示空間など、「共通点の多い美術館として、フィリップス・コレクションそのもの展覧会を開きたい」と互いに話しをしていたので、この度本展が実現できたことを大変光栄に思います。
また、本展について私が特筆したい点の一つが、ドラクロワの《海からあがる馬》を皆様にお見せできることです。今年4月からパリで開催されたドラクロワ展にも出品されていましたが、改めて「これは画家晩年の傑作だ」と実感しました。展覧会を通して、ダンカン・フィリップスと彼の後継者たちの審美眼により選すぐりの優品をお楽しみください。

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