All About MARIANO FORTUNY マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン展 Sat. 6 JUL - Sun. 6 OCT., 2019

フォルチュニ美術館 ダニエラ・フェッレッティ館長Q&A 魔術師とも、錬金術師とも言われ、芸術家、職人、変幻自在の発明家でもあったフォルチュニは、今日もなお我々を魅了してやみません。ダニエラ・フェッレッティ館長(Daniela Ferretti)1976年にヴェネチアIUAV大学・建築学科卒業。1977年からこれまで200以上展覧会のキュレーションを担当。ヴェネツィア以外でもいくつかの主要な美術館、あるいは美術評論家や歴史家、芸術家とのコラボレーションを果たす。

日本では初の開催となる「マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン展」ですが、フェッレッティ館長にとって、この展覧会の魅力とは何でしょうか。また、本展で特に注目すべき点を、教えて頂けますか。

ヴェネツィアのフォルチュニ美術館と東京の三菱一号館美術館の、精力的なコラボレーションの賜物である本展覧会は、今日もなおその燃えたぎるような創造性で我々を驚嘆させ、魅了し続ける一人の芸術家の存在を、より多くの方々にご紹介することを目的としています。

内気で控えめな人柄でありながら、激しい前衛性と不屈の研究心を持ったマリアノ・フォルチュニは、古代文化に根差す美の理想の追求に、その精力を傾けました。
フォルチュニは何よりも、画家でした。 彼の絵画は、いずれも古の理想美を内包しています。
やがて彼は、持ち前の旺盛な前衛的精神で、写真、彫刻、舞台美術、デザイン、ファッション、テキスタイルといった応用芸術に活躍の場を見出し、次々と才能を開花させていきます。 彼の活動は、芸術的過程の多様性に対する近代的概念や、種々の表現方法の関係性に対する飽くなき探究、過去の芸術への造詣と新しい技術を用いた実験との間にすべからく生じる対話といったものを通して発展した、創作的行程の軌跡であったと言えます。 本展では、フォルチュニの最も知られた側面、すなわちテキスタイルのデザインや、ドレス、マント、ショール、舞台衣装の制作だけでなく、あらゆる芸術分野において展開された彼のヴィジョンを明らかにすることを目指します。 また、日本の文化と芸術がフォルチュニの創作活動に与えた影響に関する、調査・研究の機会ともなることでしょう。

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20世紀初頭の芸術分野において、フォルチュニが果たした根本的役割とは何でしょうか。

フォルチュニの存在は、特に20世紀初頭の数十年間、文化の中心としての重要性を担いました。 当時の技術と古代の英知を結び合わせ、芸術と科学の見事な融和を生み出す才能において、彼の右に出る者はいませんでした。

彼が考案した、舞台装置(クーポラ)と、拡散光と間接光を用いた照明技術装置からなる複雑なシステムは、演劇界に大きな変革をもたらしました。 このシステムは、ヨーロッパの名だたる劇場で採用され、演劇の舞台を一変させることになります。 さらに、忠実な伴侶にして彼の制作上のミューズであったアンリエット・ネグランとともに、彼は薄絹や絹ベルベットを使用したテキスタイルのデザインと制作に着手します。 時代様式、色彩、装飾モチーフに無限のバリエーションを持つその作品によって、「フォルチュニ」のブランドは、ほどなく全世界に名を馳せるようになりました。 そしてフォルチュニは、「デルフォス」で、ドレスの概念そのものに革命をもたらします。
ルイーザ・カザーティ、エレオノーラ・ドゥーゼ、イサドラ・ダンカン、イダ・ルビンシュタイン、ペギー・グッゲンハイム、スーザン・ソンタグ等、20世紀を代表する錚々たる女性たちが身にまとったデルフォスは、時を超えたエレガンスの象徴となるに至ります。
かのマルセル・プルーストが、有名な『失われた時を求めて』の中で、この天才的な創作家に関する熱のこもった記述にページを割いていることからも、フォルチュニの成功が裏付けられます。

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フォルチュニという人物、また彼の作品の魅力とは何でしょうか。

マリアノ・フォルチュニが持つ最大の魅力の一つは、古代美術の規範を近代の表現法に「翻訳」する、類まれな能力です。 遠くかけ離れた異質の要素たちを、現代の創作物の内に収束、融合させる―これこそが、フォルチュニの表現を普遍的かつ超時代的なものたらしめているのです。

少年時代に蒐集に目覚めたフォルチュニは、好奇心と博識でこれに深く傾倒し、自らのコレクションを作り上げます。 美術品、異なる国や時代の物品、考古学関係書籍、版画、絵画、写真などを買い集めては、秩序だった一種の蒐集目録に整理していましたが、後にそれが彼の創作活動の手引きとなり、刺激を与え、道具ともなりました。 このような文化遺産ともいえるほどの卓越した蒐集品のお陰で、フォルチュニは未来に開かれた眼差しを向けながらも、過去を尊重し続けることができたのです。

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近年、サンクトペテルブルクやパリ等、各地でフォルチュニに関する展覧会が相次いで開催されています。最近になって世界が彼を評価・称賛し始めたのは、なぜでしょうか。また、フォルチュニの存在は、現代社会においてどのような意味を持つのでしょうか。

マリアノ・フォルチュニは、20世紀前半の西洋の芸術界において、最も魅惑的な人物の一人です。 魔術師とも、錬金術師とも言われ、芸術家、職人、変幻自在の発明家でもあったフォルチュニは、その作品の現代性と独創性で、今日もなお我々を魅了してやみません。

その天性の才知と多面性から、しばしば近代のレオナルド・ダ・ヴィンチとも称される彼は、現代的意義を大いにはらんだ表現手法の生みの親と言えるでしょう。 有名デザイン企業、また人気の頂点に立つデザイナーやインテリア・デザイナーが、現在も彼の作品を再解釈しては、新たに表現し続けていることは、まさにその現れです。

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日本の本展来場者へ、メッセージをお願いします。

皆さんがフォルチュニの魅惑的な世界を発見し、楽しんでくださることを心より期待しています。

マリアノ・フォルチュニとは?

フォルチュニの人生