「聖書の話をもっと知ろう!」作品鑑賞システムのご紹介③(最終)
皆様こんにちは。
今回も引き続き、作品鑑賞システム「聖書の話をもっと知ろう!」のご紹介です。
本システムは、3階の資料コーナーとフォトスポットコーナーに併設されており、
大日本印刷株式会社協力のもと、プラド美術館展出品作品の中から聖書の主題が
描かれた17作品の物語をわかりやすく解説しています。
◆前回の続き
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11:作品リスト及び図録NO.16
《十字架降下あるいは聖母の第五の悲しみ》 コレッジョ(本名アントニオ・アッレグリ、1489頃‐1534年)のコピー(作者不詳) 16世紀中頃
ゴルゴタの丘で十字架にかけられたイエスは、ついに絶命します。こうしてイエスは十字架上で、アダムとイヴの楽園追放に始まる原罪をあがなったのです。遺骸は隠れ信者のアリマタヤのヨセフとニコデモが下ろし、十二使徒では唯一ヨハネが立ち会ったと言われます。イエスの受難を目にした聖母は悲嘆のあまり気を失い、弟子のマグダラのマリアも涙にくれます。聖母が死せる我が子を抱く姿は、「ピエタ」(慈悲を意味する語)と呼ばれます。
12:作品リスト及び図録NO.2ab
《苦しみのキリスト》 聖カタリナの伝説の画家 1470-1500年
ムチや茨の冠などの受難具が描かれたこの絵は、イエスの受難を集約し、その悲しみを象徴的に表す作品です。十字架の道行きの途中で汗をぬぐってもらった布に顔が写った「聖顔布」や、十字架上で脇腹をさされた聖痕も見えます。受難の後、埋葬されたイエスは、三日目に復活します。復活の様子は聖書には記されていませんが、マグダラのマリアら三人の女性が墓を訪れたときには、入口の石がころがり、遺体はすでに消えていました。
13:作品リスト及び図録NO.45
《ノリ・メ・タンゲレ(我に触れるな)》 ニコラ・プッサン 1653年
イエスの墓が空になっていることを発見し、墓のある園で一人涙していたマグダラのマリアは、復活したイエスと出会います。思わず手をのばすと、イエスは「我に触れるな」と言いながら、後ずさりしました。「私はまだ父のもとに上がっていないのだから」と告げたイエスは、使徒たちにこのことを伝えるよう促します。イエスはその後も度々出現しますが、復活から約40日後、聖母や使徒たちが見守るなか、父なる神のみもとへと昇天しました。
14:作品リスト及び図録NO.29
《聖人たちに囲まれた聖家族》 ペーテル・パウル・ルーベンス 1630年頃
イエス・キリストの昇天後、その伝道活動は十二使徒に受け継がれます。ペテロはローマで初のキリスト教会を設立し、他の使徒たちも各地で宣教を行なって、信者を増やしていきました。布教の過程で、信仰と功徳に特に優れた人々が聖人として認められるようになり、この絵では、聖家族を中心に様々な時代の聖人たちが描かれています。幼子イエスの左でひざまずく女性は、イエスと「神秘の結婚」をしたという伝説をもつ聖女カタリナです。
15:作品リスト及び図録NO.6
《巡礼者姿の聖ヤコブ》 フアン・デ・フランデス 1507年頃
聖ヤコブは、もとは聖ペテロと同様にガリラヤ湖の漁師で、弟ヨハネとともに十二使徒の一人となりました。同名の使徒がもう一人いたため、大ヤコブとも呼ばれます。イベリア半島に伝道に行ったという伝説があり、エルサレムで殉教した後、現在のスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラの地に埋葬され、国の守護聖人となりました。この絵では、杖を手にした巡礼者姿で、サンティアゴ巡礼のシンボルのホタテ貝がついた帽子をかぶっています。
16:作品リスト及び図録NO.18
《祈る聖アポロニア》 グイド・レーニ 1600-03年
ユダヤ教徒やローマ帝国が初期キリスト教を迫害したこともあり、聖人のなかには殉教者も多数います。聖アポロニアは、3世紀頃、ローマ帝国のアレクサンドリアで殉教した女性です。歯を抜かれる拷問を受けた後、信仰に対して不敬な言葉を口にしなければ火あぶりにすると脅かされ、自ら炎に身を投じたのです。ここでは、救済を象徴する冠と殉教者を象徴するシュロの葉をもつ天使が、祈る聖女のもとに降りてくる情景が描かれています。
17:作品リスト及び図録NO.15
《聖プラキドゥス、聖フラウィア、聖エウティキウス、聖ウィクトリヌスの殉教》
コレッジョ(本名アントニオ・アッレグリ、1489頃‐1534年)のコピー(作者不詳)
16世紀中頃
4世紀にはキリスト教がローマ帝国の国教となりましたが、新たな地への布教はいまだ過酷なものでした。この絵の4人の聖人は、イタリアの聖ベネディクトゥスの弟子だった兄弟で、6世紀にシチリア島で異教徒によって斬首されました。2人の処刑はすでに終わり、恍惚の表情で殉教を待つ聖プラキドゥスと、今まさに胸をつかれた聖女フラウィアの姿が見えます。天使のかざす茨の冠やシュロの葉と白ユリが、殉教と救済を象徴しています。
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今回で、17作品の解説が終了です。ブログでご紹介する解説の他にも、実際のコンテンツでは、
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