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ミレーと読書

皆様こんにちは。
いよいよ本日から「ボストン美術館 ミレー展― 傑作の数々と画家の真実」が開幕致しました。
先日は当館館長の高橋からミレー展の鑑賞ポイントを説明させていただきましたが、
今回は読書の秋にちなんで、館長おすすめの本をご紹介します。

Q:芸術の秋、読書の秋ですのでオススメの本を一冊お願いします。

高橋:先にも(Facebook「MEET at Marunouchi」でのインタビュー)述べましたが、
晩年の、独特の雰囲気を纏ったミレーから連想される作家として、
丸山健二氏の「薔薇のざわめき」(河出書房新社)、「千日の瑠璃」(文芸春秋社)などいかがでしょうか。

23歳で芥川賞を受賞した方で、2004年に綿谷りさ氏が19歳で同賞を受賞するまで、
最年少記録を持っていた作家でもあります。文壇とはほとんどかかわりを持たず、
自然の中で独自に執筆活動を続けているという「孤高の作家」という一面からも、
なんとなくミレーをイメージさせる部分があります。

なるほど、皆様はこちらの作品はご存じでしょうか。「千日の瑠璃」については、
モノや思想が擬人化されそれぞれの視点から、1人称で語るという印象的な作品です。
カレンダーのように一日一日、千日の物語が綴られていきます。読み進めるうちに、
必ずご自身の誕生日もやってきますので、気になる日付に、どの様な物語が展開しているのか
想像しながら読み進める楽しみもあります。
展覧会鑑賞後に、作品やミレーという画家からどのような物語や作家をイメージするのか、
秋の夜長に思いを巡らせてみてはいかがでしょうか。

最後に読書の秋つながりで、本展覧会のメインビジュアルに採用されている、≪種をまく人≫
の意外な?登場場所をご紹介します。

高橋:余談ですが、岩波書店のシンボルとして≪種をまく人≫使用されています。
ミレーが日本人にとってなじみ深い作家であるという一面を表しています。
本屋さんで確認してみてください。

また、フランスの自然主義の小説家であるロマン・ロランはミレーの生き方に深く共感し、
彼について執筆しています。(「ミレー」岩波書店)ちなみに、私が監修して、ミレー展
担当学芸の安井裕雄が執筆している、「もっと知りたいミレー」(東京美術)
という本もありますので、ぜひ展覧会を深く理解するために役立てて下さい。(笑)

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