「KATAGAMI Style」展と「REVALUE NIPPON PROJECT」
当館では2012年に「KATAGAMI Style」展を開催し、日本の染め型紙がどのように19世紀末の欧米の美術・工芸に影響を与え、今もなお世界のデザインに取り入れられているかをご紹介いたしました。
KATAGAMI展のポスター
この「KATAGAMI Style」展を訪れたひとりが、サッカーの元日本代表として知られる中田英寿さんです。
中田さんは、型紙のデザインや彫りの技術の素晴らしさ、また型紙が世界に与えた多大な影響に感動されたそうです。
会場風景
中田さんは「TAKE ACTION FOUNDATION」を主宰されていますが、そこで日本の伝統工芸活性化支援を目的としたプロジェクト「REVALUE NIPPON PROJECT」を行っていらっしゃいます。毎年、日本の伝統工芸・技術からテーマを設定し、作品を制作していますが、今回は「KATAGAMI Style」展がきっかけとなり、中田さんから当館館長の高橋明也に「型紙」を用いた作品制作への打診がありました。
総合ディレクションを任された高橋が、デザイナーの北川一成さん、写真家の新津保建秀さん、型紙職人の六谷博臣さんと協働し、一年がかりでアート作品を完成させ、去る2014年7月19日、博多のホテルにてお披露目とオークションが開催されました。
©Junichi Takahashi
勢ぞろいした作品制作者たち。
中央:中田英寿氏、左から三番目:館長の高橋明也、左から四番目:北川一成氏、右から六番目:六谷博臣氏。
©Junichi Takahashi
高橋チームが制作した現代アート作品《Katagami-Box》。
透明度の高いアクリルの箱の中に、錐彫り技法による型紙、型紙の産地である白子で撮り下ろした写真、白子の海岸の貝殻や松ぼっくり、型紙の小本や柿渋などを収め、伊勢型紙の歴史と伝統をまるごと閉じ込めてあります。
展覧会が契機となり、型紙という伝統工芸の再評価につながったことを当館としても大変うれしく感じております。今後も人々の創造のきっかけとなるような有意義な展覧会を目指して参ります。
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