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マツオヒロミさん「異端の奇才―ビアズリー」展

マツオヒロミさんが「異端の奇才――ビアズリー」の感想を寄せてくださいました!マツオさんがセレクトされたお勧めの作品と、ビアズリー作品からイメージして描いてくださったイラストもどうぞご覧ください。

イラスト:マツオヒロミ
イラスト:マツオヒロミ

25年前の2000年、初めて見たビアズリー作品に衝撃を受け、強い影響を受けながら作品を描いてきました。それから四半世紀経ってようやく展覧会で見ることができ、感無量です。

今回の展覧会ではビアズリーが活躍した時代背景も味わえる内容で、当時ビアズリーがどれだけ画期的であったかということもひしひしと感じながら拝見しました。同時代の描き手の中でも圧倒的にソリッドな画面構成だったことが分かり、ジャポニスム様式が愛されていた時代に、このビアズリーの画風は同時代の人々が潜在的に待ちに待っていたスタイルだったのかもしれません。

約30年後のアール・デコの時代を予見させるような簡潔な美しさの世界ですが、後の作家たちの誰とも全く違う、唯一無二の白と黒の曲線の世界。これを病身の青年がたった25年の生涯で1,000枚以上を描いて成し遂げた。

非凡な才能はもちろん、とんでもない熱量で絵に向かっていたからこそのことだと思います。ビアズリー作品は理想として胸の中にずっと棲み続けていますが、今回の展覧会では作家ビアズリーの姿を想像出来て、改めて偉大な画家であることを実感できました。

マツオヒロミさんがセレクトするおすすめ作品

サロメの化粧Ⅱ

こちらは同じ画題で一度没になり描き直された作品だそうです。
没になった作品もかなりの力作なので、相当ショックだったんじゃないでしょうか。その後にこんな傑作を描いたのか!と驚きました。問題箇所の訂正ではなく、前作と甲乙付け難いほどにかっこいい新作として描きあげる。ビアズリーの絵に対する矜持や真摯な情熱に触れたように感じました。

ドレッサーまわりやサロメのドレスの抜け感あるおしゃれっぷりにも注目です。

アリババ

私はビアズリー作品をファッションイラストとして見ているところがあって、こちらはそういう面からも最高だなと感じています。5、60年代のVOGUEなどの表紙にありそうなモダンな画面構成で、これで130年前か…と絶句です。ビアズリーのタッセルが大好きなのですが、これでもか!と描かれた腰のタッセルにただただうっとり。
引き算の美学が白と黒の曲線に乗り、麗しいタッセルやジュエリーに永遠に視線誘導され続ける快楽を味わえます。

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