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黒田清輝《摘草》を東京国立博物館(上野)に貸出中!

東京国立博物館で開催の「生誕150年 黒田清輝 日本近代絵画の巨匠」展へ、
黒田清輝の油彩作品《摘草》を出品しています。

摘草;Gathering Herbs黒田清輝
《摘草》
油彩/カンヴァス
1891(明治24)年
三菱一号館美術館寄託

日本近代洋画の巨匠黒田清輝は幕末の1866年に生まれました。ちょうど今年が生誕150周年にあたります。
これを記念して、現在、東京国立博物館では大規模な黒田清輝の回顧展が開催されています。
当館からは、寄託作品である《摘草》を出品しています。
《摘草》は1891(明治24)年、若き画家のフランス留学時代に描かれました。
奥行きのある広々とした野で、若い女性が野草を摘んでいます。画面の奥には、
19世紀末のフランスでよく見られた巨大な摘みわらが描かれています。

留学中の黒田がしばしば訪れたフランス北部は、秋から春にかけての時期には曇り空のことが多く、
ぼんやりした光はそのことを裏付けています。
彼女の左後方には、少女が前傾姿勢をとって、野草を探しているのでしょうか、足元を見ながら歩いています。
不思議なのは、この少女が主人公の女性と比べて不自然なほど小さく描かれていること。
とはいえ、この少女がいないと作品全体のバランスが崩れてしまうのが興味深いところです。

右下に描き込まれたサインは「SEYKI KOVRODA」とあります。
フランス語では「Y」は「I」二つ分とされ、「イ」と発音されます。
またフランス語の祖先であるラテン語ではVはUと同じ文字でした。
フランス語では「OU」は「ウ」と発音されます。したがって、
サイン全体をフランス語式に読むと「セイキ クロダ」となります。

【展覧会情報】
展覧会名:「生誕150年 黒田清輝 日本近代絵画の巨匠」
会期:2016年3月23日~5月15日
会場:東京国立博物館(上野)
URL:http://www.seiki150.jp/

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