本展の見どころ

レオナルド・ダ・ヴィンチ ミケランジェロ

背景

見逃せない!ミケランジェロの3作品

1《背を向けた男性裸体像》

フィレンツェ共和国のピエロ・ソデリーニがミケランジェロに発注した、ヴェッキオ宮殿の壁画《カッシナの戦い》のために描かれた習作です。《カッシナの戦い》は、レオナルドの《アンギアーリの戦い》との競作としても知られています。本作は、伸び上がるような姿勢の男性の背面には、筋肉のつき方が事細かに把握されており、彫刻家の捉え方が現れています。ミケランジェロは下描きが終わった段階で、ユリウス2世によりローマへ呼び戻され、《カッシナの戦い》は未完に終わりました。

ミケランジェロ・ブオナローティ 《背を向けた男性裸体像》
1504-05年 ペンとインク、黒チョークのあたりづけ/紙 カーサ・ブオナローティ 
©Associazione Culturale Metamorfosi and Fondazione Casa Buonarroti

2《河神》の習作

蝋で制作された彫刻の習作で、主題はイエス・キリストと共に十字架に架けられた盗人であるとされてきましたが、現在はギリシア神話の河の神といわれています。カーサ・ブオナローティが所蔵するより大きな《河神》の作品と比較しても根拠があります。メディチ家礼拝堂のために作られ、場所を示す役割を与えられる予定でしたが実現しませんでした。このような彫刻モデルは、石材切り出しの職人に手渡され、彫刻の寸法の目安として使用され、鉱山までの輸送に耐える素材で制作されました。

ミケランジェロ・ブオナローティ 《河神》
1525年頃 獣脂、松脂、蝋、テルペンチン カーサ・ブオナローティ 
©Associazione Culturale Metamorfosi and Fondazione Casa Buonarroti

3《イサクの犠牲》のための習作

彫刻レリーフのための素描です。息子イサクに手をかけようとするアブラハムに対し、天使が止めに入っています。アブラハムと天使の距離が非常に近いことが本主題を扱う上でのミケランジェロの特徴といえます。イサクの左膝の位置は未決定のためか、複数の膝が動くように描かれています。

ミケランジェロ・ブオナローティ 《イサクの犠牲》
1535年頃 黒チョーク、赤チョーク、ペンとインク/紙 カーサ・ブオナローティ
©Associazione Culturale Metamorfosi and Fondazione Casa Buonarroti

【7月11日から公開】ミケランジェロ・ブオナローティ(未完作品、17世紀の彫刻家の手で完成)《十字架を持つキリスト(ジュスティニアーニのキリスト)》

ローマの貴族、メテッロ・ヴァーリの依頼による彫像ですが、顔の部分に黒いが現れたために制作途中で放棄されてしまいました。未完成のままの《キリスト像》は、注文主であるヴァーリが貰い受け、邸宅の中庭に設置されていましたが、その後子孫によって売却され、長く行方不明となっていました。2000年になって、ローマ郊外の小都市バッサーノ・ロマーノにある修道院に納められているキリスト像が、ミケランジェロによって手がけられた本作品であったことが明らかとなりました。17世紀の初めには像が完成された形でローマで売りに出されていた記録があり、このころまでに、ミケランジェロ以外の彫刻家の手で仕上げられていたようです。制作にまつわる紆余曲折や、宗教改革、第二次大戦などの危機を経て、数奇な運命をたどった作品です。

1514-1516年 大理石 2500(キリスト像だけで2010)mm 
サン・ヴィンチェンツォ修道院聖堂蔵

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