本展の見どころ

レオナルド・ダ・ヴィンチ ミケランジェロ

背景

イタリアが生んだ2大天才の素描とは?

レオナルドもミケランジェロも弟子や追随者がいましたが、彼らにとって学ぶべき対象、まさにお手本として扱われたのが絵画、素描、彫刻といった作品でした。弟子たちは先生の素描を間近にみながら学び、日々鍛錬に勤しんでいたことでしょう。
ミケランジェロは弟子のアントニオに「毎日デッサンしなさい」と言っています。
レオナルドは以下の言葉を残しています。「素描家よ、君が立派で有益な修業をしたいと思うなら、じっくりと素描するようにせよ。さまざまな明るさを持つものの中で、どの部分が第一の明るさであるか、同様に、影の部分ではどの部分が他よりも暗いか、また光と影がどのような仕方で一緒に混じり合っているのかを判断し、両者の分量を互いに比較してみること。」
「画家は、まず優れた師匠の手になる素描を模写することに習熟しなければならない。」とも述べています。

ルネサンス期では、「〈自然〉を母として、〈素描〉を父とすると、〈建築〉〈彫刻〉〈絵画〉の3姉妹がいる」という関係が強調されていました。自然に則ってデッサンすることは、各芸術の基本中の基本であり、決して軽んじることの出来ない大事なものと位置づけられていたのです。さらに素描そのものが作品としての価値を持つほど重要な価値をもっていたのです。

レオナルド・ダ・ヴィンチ 《少女の頭部/〈岩窟の聖母〉の天使のための習作》

レオナルド・ダ・ヴィンチ《少女の頭部/〈岩窟の聖母〉の天使のための習作》
1483-85年頃 金属尖筆、鉛白によるハイライト/明るい黄褐色に地塗りした紙
トリノ王立図書館 ©Torino, Biblioteca Reale

レオナルドの技法

左利きのレオナルドは左上から右下へのハッチングが特徴的で、斜線の重なりによって濃淡が作られ、陰影が生まれています。左眼の上瞼、目元、左頬、ほうれい線、鼻梁、左頬、口元といったところに鉛白によるハイライトが施され、光が当たっていることを意味しています。

ミケランジェロ 《〈レダと白鳥〉の頭部のための習作》

本作は、ミケランジェロの素描としては最も知られている1点です。
モデルは弟子のアントニオ・ミーニという男性と考えられています。

右)ミケランジェロ・ブオナローティ《〈レダと白鳥》〉の頭部のための習作》
1530年頃 赤チョーク/紙
カーサ・ブオナローティ ©Associazione Culturale Metamorfosi and Fondazione Casa Buonarroti

ミケランジェロの技法

ミケランジェロは右利きで、クロスハッチングと呼ばれる、斜線を交差させる描き方をしています。頭部のところで分かるように、それによって立体感を出し、あたかも「削り取るように」素描を描いていました。本作では赤チョークが用いられ、濃淡によって凹凸を巧みに表現しています。

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