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ショーメ 時空を超える宝飾芸術の世界-1780年パリに始まるエスプリ

本展の見どころ

パリのヴァンドーム広場に軒を連ねるジュエラーの中で、ショーメはもっとも長い歴史を誇ります。そして、1780年からその比類なきクリエイ ションでメゾンの優雅な礎を築き上げました。ナポレオン1世と皇妃ジョゼフィーヌの御用達ジュエラーとして、ショーメは装飾芸術の傑作と 称される数多くの作品に寄り添い、伝統を重んじつつ今なお革新性を追求し続けています。本展は、ルーヴル美術館名誉館長アンリ・ロワレット氏監修の下、18世紀後半から現代まで、約240年に及ぶショーメの伝統と歴史を紹介する日本初の展覧会です。ロマン主義、 ジャポニスム、アール・デコといった芸術潮流との対話の中で洗練された作品―ダイヤモンドのティアラやネックレス等の宝飾品と、未発表の歴史的なデザイン画や写真等約300点を展覧します。

タコのネックレス
ショーメ、1970年 ゴールド、フロスト仕上げのロック・クリスタル、
ジャスパー、ダイヤモンド、ルーベライト 
両シチリア王国ブルボン家王女コレクション © Chaumet / Nils Herrmann

ティアラの芸術

ジュエラーの芸術の頂点、そしてメゾンのシンボルでもあるティアラは、1780年より、あらゆる影響、あらゆる様式を反映してきた。
権力の象徴であると同時に流行のアクセサリーでもあるティアラは、時代ごとの公式・社会行事を飾り立て、古典的様式から豪華なスタイルへと変化している。
本セクションにおいて展示される約20点のティアラと300点のニッケル=シルバーのモデルは、ショーメの創造性と卓越性を物語っている。

1. ナポリ王妃カロリーヌ・ミュラの
バンドー・ティアラ

ニト・エ・フィスに帰属、1810年頃
ゴールド、真珠、ニコロアゲート

ミキモト
© Droits réservés

このバンドー・ティアラは、帝政時代における古代趣味を表している。
これはナポレオンとジョゼフィーヌによって打ち出された流行であった。
皇帝の妹カロリーヌ・ミュラのために制作された本作は、
恋愛に関する神話の諸場面が表現された9つのインタリオで飾られている。
それぞれの主題はプシュケを火で照らすクピド、ヘラクレスの棍棒を運ぶオムパレー、ボヌス・エーウェントゥス、弓と矢を持つクピド、ヘラクレス、ポンペイア、 入浴のために衣服を脱ぐウェヌス、矢を研ぐクピド、クピドとプシュケである。

2. ティアラ「鮮紅色の情熱」

ショーメ、2016年「ナチュール ドゥ ショーメ」コレクション
ホワイトゴールド、ピンクゴールド、レッドスピネル、ロードライトガーネット、 グリーントルマリン、ダイヤモンド

ショーメ・パリ
© Chaumet

王権を意味する百合の花は、ヨーロッパの君主が好んだジュエラーであるショーメの、自然を模した、象徴のレパートリーにおいて特別な存在である。本作では、大きなユリの花は取り外してブローチとして着用可能である。

3.「 ロイヒテンベルク」のティアラ

ジャン=バティスト・フォサン、1830-1840年頃
ゴールド、シルバー、エメラルド、ダイヤモンド

ショーメ・コレクション、パリ
© Chaumet / Nils Herrmann

このティアラは、ジョゼフィーヌの後裔であるロイヒテンベルク家に由来する。自然主義への頌歌であり、フォサンの制作の典型である本作は、傑出したエメラルドを備えている。その自然主義的イリュージョンは、「震える」セッティング技術によって強調されており、花のモティーフは着用者の動きに応じて揺れ動く。花はそれぞれ取り外しが可能で、ブローチとして、あるいは髪飾りとして着用することができる。

4. カーネーションのティアラ

ジョゼフ・ショーメ、1907年
プラチナ、ダイヤモンド

個人蔵
© Courtesy of Albion Art Jewellery Institute

フランス産業界における有力な家系、ウェンデル家によって注文されたこのティアラは、シンメトリーと軽快さを組み合わせた構成によって、アール・デコ様式を予告している。 情熱の象徴であるカーネーションはここで、荒涼としながらも繊細な自然を想起させ、その効果はセッティングのしなやかさによって強調されている。中央のダイヤモンドは取り外しが可能で、ペンダントとして着用できる。

統治者の選ぶもの

展覧会の冒頭では、メゾンの顧客で高貴な位に就く人物に焦点を当て、ショーメの歴史がどれほどフランスの歴史と共にあったのかについて明らかにされる。
執政政府、帝政期に皇帝がメゾンに注文した作品は、権力の象徴としての意味を強調し、 それ以降のメゾンのスタイルに着想を与えるテーマの萌芽となった。

5. ミクロモザイクの施された、
皇妃マリー=ルイーズの日中用パリュール

フランソワ=ルニョー・ニト、1810年
ゴールド、青の溶融ガラスで縁取られたミクロモザイク

ルーヴル美術館、パリ
© RMN- Grand Palais (musée du Louvre) / Hervé Lewandowski

国王のダイヤモンドの目録に記載されているこのパリュール(ジュエリーセット)は、 ナポレオン1世からマリー=ルイーズに宛てられた数多くの結婚記念品のひとつであった。
ギリシア・ローマの神殿や遺跡の描かれたミクロモザイクは、金色のブドウの葉や房によって繋ぎ合わされている。
ブドウは第一帝政期における珍しいモティーフであり、ロマン主義の出現を予告している。

6. 戴冠衣装の皇帝ナポレオン1世

フランソワ・ジェラール
1806年 油彩/カンヴァス

パレ・フェッシュ美術館、アジャクシオ
© Palais Fesch, musée des Beaux-Arts

この肖像画において戴冠衣装に身を包む姿で描かれたナポレオンは、あらゆる権力の象徴に囲まれている。
それらはすなわち玉座、月桂冠、レジオン・ドヌール勲章頸飾、王笏、正義の手の杖、そして黄金の宝珠であり、さらにフランス王に由来するダイヤモンドのはめ込まれた執政用の剣あるいは「戴冠式の宝剣」である。
この剣はショーメの創業者ニトの作品で、彼が嵌めこんだダイヤモンドは、「ル・レジャン」と呼ばれる、オルレアン公フィリップが取得した伝説的な140カラットのダイヤモンドで、現在ルーヴル美術館に所蔵されている。

7. 皇帝ナポレオン1世より贈呈された教皇ピウス7世のティアラ

アンリ・オーギュスト(金銀細工職人)、
マリ=エティエンヌ・ニト、フランソワ=ルニョー・ニト
1804-1805年(後世に数回修正)
ゴールド、シルバー、金箔、エメラルド、ラインストーン、 真珠、合成石、カットガラス、シルクのヴェルヴェット、 ラメ入りのゴールド、金属糸、木、紙

教皇庁聖具室、ローマ
© Chaumet / Régis Grman

ナポレオンが贈呈した外交目的のあらゆるギフトのうち、もっとも重要なのは、教皇ピウス7世のために注文されたティアラである。
それは1804年12月2日、パリのノートルダム聖堂で執り行われた戴冠式へ出席した教皇に対して、皇帝の謝意をあらわしている。
本展にむけて、ヴァチカンはこのティアラの修復、および「ユリウス2世」として知られる、比類のない極上のエメラルドの上に乗せる十字架の制作をショーメに委託した。

想いをあらわすジュエラー

幸せな瞬間は、公的なものであれば、セレモニーの華やかな装飾によって不朽の名声が与えられ、
私的なものであれば、よりささやかなお祝いのギフトの、繊細な慎ましさをもってささやかれる…。
ショーメは、自身の作品の中に人生の喜びや愛を表現し、ひたむきに制作活動を行いながら、
歴史を通じて、魔法にかけられたような特別なひとときに敬意を表している。
愛を象徴するメッセージやモティーフを備えたジュエリーは、彩り豊かな感情のパレットを賛美している。

8. 皇妃マリー=ルイーズのアクロスティック・ブレスレット

マリ=エティエンヌ・ニト、1810年
ゴールド、ダイヤモンド、貴石

個人蔵
© Droits réservés

詩から着想を得たアクロスティック・ジュエリーは、それを飾る宝石のイニシャルを用いて、秘密のメッセージを作り上げる。これら3点のブレスレットは、ナポレオンからマリー=ルイーズへ結婚祝いとして贈られたものである。
上から1点目は、ナポレオンの名と彼の生年月日、1769年8月15日が綴られている。
2点目には、マリー=ルイーズの名と彼女の生年月日である1791年12月12日が、そして3点目には、コンピエーニュでの彼らの出会いの日付、3月27日とパリにおける彼らの結婚式の日付、1810年4月2日が示されている。

9. ペンダントウォッチと矢のピン

ジョゼフ・ショーメ、1910年頃
ゴールド、プラチナ、サファイア、エメラルド、 ダイヤモンド、エナメル

ショーメ・コレクション、パリ
© Chaumet

クピドは決して狙いを外さない。
彼が放った矢は、見事にこの婦人時計を射止め、眩しい光線の中で天国を指し示している。
斜め格子模様の入ったエナメルの時計は、プラチナ細工のレースによって優美に縁取られており、おそらくペンダントとして、あるいはコサージュの留めピンとして着用される。

10. タコのネックレス

ショーメ、1970年
ゴールド、フロスト仕上げのロック・クリスタル、ジャスパー、 ダイヤモンド、ルーべライト

両シチリア王国ブルボン家王女コレクション
© Chaumet / Nils Herrmann

本作は、サルバドール・ダリ、あるいはメレット・オッペンハイムといったシュルレアリストのスタイルに基づき、彫刻家ロベール・ルモワーヌによって制作された。
この風変りなネックレスにおいて表現されているのは、タコが藻綱をわしづかみにし、足でルーべライトを捕えているさまである。
離れがたい関係の強さを想起させるこのネックレスは、ヴァランタイン・アブディ卿からマチルド・ド・ラ・フェルテへの、 結婚祝いの贈り物として注文された。

11.「 タータンチェックのリボン」ブローチ
(スコットランド風蝶結び)

ジョゼフ・ショーメ、1907年
プラチナ、ゴールド、ダイヤモンド、カラージェムストーン

個人蔵
© Droits réservés

このブローチは、19世紀において、女性らしい服装に必須であったリボンの蝶結びから派生したものであり、心の結びつきを象徴している。
カラージェムストーンの視覚的イリュージョンは、スコットランドのタータンチェックを手本としており、デザインは布地のしなやかさを再現している。
アメリカの顧客、ディンスモア嬢によって手に入れられたこのブローチは、ベル・エポック期におけるショーメの、輝かしい創造性を物語っている。

自然の歴史

「驚異の部屋」風に仕立てられた本セクションは、ショーメが創業から大事にしてきた「自然主義」のテーマを扱う。
動植物と昆虫は職人の手によってジュエリーとなり、ショーメのレパートリーの豊富さをあらわしている。
このスタイルのジュエリーがもつ本質は、力強さと繊細さ、構成と動きといった要素を組み合わせており、
ジュエラーの大胆な発想力や独創的な技術と繋がっているのである。

12. ヒイラギの葉のブローチ

ジョゼフ・ショーメ、1890年頃
天然真珠、ダイヤモンド

ショーメ・コレクション、パリ
© Chaumet / Nils Herrmann

曲線と動きに満ちたヒイラギの枝には、活気、野性、力強さと繊細さの共存といったショーメの自然に対するまなざしがあらわれている。
天然の真珠は、冬になるヒイラギの赤い実を表している。これはキリスト教文化ではクリスマスの象徴である。

13. 6羽のツバメの連作

ジョゼフ・ショーメ、1890年
プラチナ、ゴールド、ダイヤモンド

ラリック美術館、ヴィンゲン=シュル=モデール、シャイ・バンドマン&ロナルド・オオイ寄託
© Rami Solomon & Kineret Levy Studio, Israël, Musée Lalique, France, dépôt Shai Bandmann et Ronald Ooi

ツバメは春の到来を告げ、その象徴的で強い意味は東洋と西洋の隔てなく通じている。
幸運をもたらし、精神の高揚や再生をも体現する。ツバメのモティーフはアール・ヌーヴォーで頻出し、とりわけルネ・ラリックに好まれて着想源となる。
滑空する6羽の鳥が一揃い、小さなサイズで制作され、髪に留めたりドレスの前身頃に取り付けたりできる。

14. 麦モティーフのネックレス「夏の贈り物」

ショーメ、2016年
「ナチュール ドゥ ショーメ」コレクション
ホワイトゴールド、ダイヤモンド

ショーメ・コレクション、パリ
©Chaumet

実り豊かな夏と収穫を賛美するこのネックレスのインスピレーションは、ショーメの最も古い創作テーマのひとつに由来し、1811年以来、絶えず再解釈されてきた。
女神ケレスのアトリビュートである麦の穂は豊穣と肥沃の象徴であり、帝政期にはニトによって頻繁に使用され、またベル・エポック時代にもショーメのもとで流行した。
そして今もなお、メゾンの創造性を輝かせ続けている。

15. ハチドリのエグレット

ジョゼフ・ショーメ、1880年頃
ゴールド、シルバー、ルビー、ダイヤモンド

ショーメ・コレクション、パリ
© Chaumet / Nils Herrmann

立体的な彫刻のように美しい本作は、ブローチあるいは羽飾りのついたエグレットとしても着用でき、真に迫るハチドリの尾羽のために傑出している。
ハチドリはここでルビーとダイヤモンドの巧みなパヴェセッティングで象(かたど)られている。

ショーメと日本

「ショーメ 時空を超える宝飾芸術の世界」展は、日出ずる国へメゾンが敬意を表し、フィナーレを迎える。
本セクションは、メゾンの創業当初―ニトがマリー=アントワネット皇妃の日本漆器コレクションをフランス革命期に評価し、驚嘆していた時―から、
現代のクリエーションに至るまでの、芸術作品における二つの文明に共通する文化的影響に捧げられている。
ショーメの作品は19世紀半ばのジャポニスムに着想を得ている。
その頃フランスでは、日本の職人技への趣味が高じたが、それ以来、その影響は20世紀を通じて今日まで継続している。

16. 雷神、日本風ブローチ

ジョゼフ・ショーメ、1900年頃
ゴールド、オパール、ニコロアゲート、 ルビー、エメラルド、ダイヤモンド

ショーメ・コレクション、パリ
© Chaumet / Nils Herrmann

ジャポニスムの影響が、欧州の装飾芸術、とりわけアール・ヌーヴォーにあらわれた典型であるこのブローチは、日本の神話における雷神をテーマとしている。
伝統に倣って、雷を呼ぶため太鼓を打つ姿をしているものの、ここで雷神は侍の格好で、和傘を持つ着物姿の女性と向かい合っている。
厳格な主題の解釈というよりむしろ、本作はピクチャレスクで折衷的なスタイルであり、それは極東に対する空想、およびルネサンスと17世紀の装飾目録から着想を得ている。

17. 日本に着想を得たネックレス

ショーメ、2018年
グアッシュ

ショーメ・パリ
© Chaumet

本展のために特別に制作されたハイジュエリーセットの一部であるこのネックレスは、綿密に構築された幾何学的デザインと、動きのあるありのままの自然の要素を組み合わせている。
西洋と日本の文化が結びつき、ふたつの自然主義的な伝統は、鮮やかな赤(ルビー、ルーべライト)、黒(オニキス)のパレットの中で、ダイヤモンドの輝きに引き立てられ、みごとに溶け合っている。

18.「 日本風」のデザイン画

ジャポニスムの影響は1920年代、ジュエリーの作品を含めて再び興隆した。 ここで紹介する一連の「日本風」のデザイン画はその良い例証となる。

花と魚の鱗のモティーフの
ヴァニティーケース

人物、風景、自然モティーフの
化粧ケース

建築モティーフのブローチ

桜の木モティーフの、
エナメル加工のパースウォッチ

ショーメデザイン工房、1925年頃
鉛筆、グアッシュ、墨

ショーメ・コレクション、パリ
© Chaumet