三菱一号館美術館公式ブログ「東方三博士の礼拝とガレット・デ・ロワの日」

三菱一号館美術館 公式ブログ 当館のイベントの様子や出来事をお知らせしていきます。

2016年1月28日

東方三博士の礼拝とガレット・デ・ロワの日

皆様こんにちは。
最近日本でも見かけるようになった「ガレット・デ・ロワ」。これが何であるか、ご存じでしょうか?
「ガレット・デ・ロワ」とはフランス語で「王様たちのお菓子」という意味です。
アーモンドのペーストが入っている甘いパイで、フランスでは1月6日の公現祭(エピファニー)の日
に食べられています。パイの中に陶器の小さなおもちゃが一つ入っており、これに当たった人は王様
として冠をかぶり、一日中、家族に命令ができることになっています。

さて、この「王様たち」とは、今から2000年ほど前、キリスト教で救世主とされているイエスを礼拝しに来た
三人の賢者(東方の三博士、マギなどともいいます)のことです。メルキオール、バルタザール、カスパール、
という名前まであり、はるばる東方からやってきた三人は、イエスに、乳香、没薬、黄金を捧げたといわれています。
これが「マギの礼拝」、「東方三博士の礼拝」といわれる出来事で、キリスト教世界では古くから描かれてきました。
「ガレット・デ・ロワ」は、この「東方三博士の礼拝」の日を祝って食べられているお菓子なのです。

プラド美術館展には、「東方三博士の礼拝」を描いた作品が展示されています。占星術によってイエスの誕生を知り、
救世主を拝みにやってきた三人と聖母子が、輝かしい色彩、細密な筆遣いで描かれています。

ブログ用記事
偽ブレス(ブレシウス)
《東方三博士の礼拝》
油彩・板
1515年頃
プラド美術館

2016年1月22日

申年には猿作品! プラド美術館展出品作品のご紹介

現在開催されている「プラド美術館」展に、猿が主人公となっている作品が展示されているのをご存じですか?
ダーフィット・テニールス(2世)による《猿の画家》と《猿の彫刻家》です。
日本では、猿は賢いというイメージがありますが、キリスト教世界では、虚栄心や吝嗇など、悪を象徴し、
悪魔として描かれることもありました。テニールス(2世)の作品では、そうしたことも念頭に置きつつ、
自然界の猿の器用さをユーモラスに描いているようです。

《猿の画家》は、画室に置かれた肖像画や歴史画などの絵画から、猿の画家は人間世界を描いていると思われます。
《猿の彫刻家》では、人間が創造したギリシャ神話に登場する聖霊サテュロスを彫りだしています。
よく見ると、後方にある墓碑彫刻には人間の体に猿の頭がついています。
テニールスの遊び心が感じられる作品です。

プラド さる

ダーフィット・テニールス(2世)
《猿の画家》
油彩・板
1660年頃
プラド美術館

ダーフィット・テニールス(2世)
《猿の彫刻家》
油彩・板
1660年頃
プラド美術館

2016年1月6日

三菱一号館美術館 新年のご挨拶

あけましておめでとうございます。

昨年は多くの方々に「ワシントン・ナショナル・ギャラリー」展、「画鬼・暁斎」展、「プラド美術館」展に
足を運んでいただき、本当に有難うございました。お陰さまでいずれの展覧会も、きわめて好評をもって迎えられ、
美術館のスタッフ一堂、大変に意を強くしている次第です。尚、「プラド美術館」展は1月31日まで開催しております。
マドリードでも見ることのできない構成の珍しいテーマの展覧会ですので、未見の方はぜひご覧頂ければと存じます。

今年は、またあらたな試みに挑戦します。
3月に開会し、世界のモードを牽引した華やかなパリの服飾100年の歴史を辿る「パリ・オートクチュール展」は、
当館としては初めての、ファッションを扱う展覧会となります。パリ市立ガリエラ美術館の膨大なコレクションの中から
厳選した出品作品を素材に、著名なオリヴィエ・サイヤール館長自らがキュレーションを手がける点でも注目されます。

夏に開く「ジュリア・マーガレット・キャメロン」展は、ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館所蔵の写真展で、
世界巡回して好評を博している展覧会です。イギリス・19世紀末を代表する写真家で、近年世界的にもきわめて評価の
高いキャメロンは、女性写真家の草分けとしても名高く、当館としても最初に開く写真家の回顧展となります。

他方、秋の展覧会「拝啓 ルノワール先生」は、日本の洋画界のスーパースター、梅原龍三郎と、彼が心の師とした
印象派画家オーギュスト・ルノワールとのさまざまな交流を軸に、日仏の近代絵画の歩みを考えようという企画です。
遠く離れた日本とフランスに生きながらも、各々に独自の絵画を実現したふたりの画家の軌跡を辿ることで、
彼らの生み出した輝かしい表現を堪能いただけるかと存じます。

本年も三菱一号館美術館をどうぞよろしくお願い申し上げます。

                                   三菱一号館美術館 館長 高橋 明也

20151210