三菱一号館美術館公式ブログ「館長・高橋明也のプラド美術館展コラム」

三菱一号館美術館 公式ブログ 当館のイベントの様子や出来事をお知らせしていきます。

2015年11月26日

館長・高橋明也のプラド美術館展コラム

今回の「プラド美術館展―スペイン宮廷 美への情熱」展で展示されている作品は、小型の作品が多い印象ですが、
プラド美術館自体は小さいどころか、大美術館です。常設展示も大型作品が多いので、その巨大作品のイメージ
が強い方も多いのではないでしょうか。そんな王権に寄り添う巨大作品の収集の歴史とは180度真逆のベクトルで
作られたのがこの展覧会です。とりわけバロック期の国民国家形成時に、政治・宗教権力と競うように巨大化して
いった美術をいわば逆さまに観てみようという試みなのです。プラドでこの展覧会のマドリード版を観た時にも、
常設の大型作品とのコントラストがとても新鮮でしたし、何はともあれ小品が故に画家の手が隅々まで染み透って
いることが鮮明に分かりました。

「小さきものへの愛」をもつ日本では、それに加えて別の意味ももちそうです。
その意味で一号館の空間はベストだったと自負しています。

先日黒柳徹子さんが来館した際には、丸々2時間を費やしたほど、小型作品を観るのには神経を集中しなければならず、
鑑賞に疲れるのがちょっと難点です・・・。この小型の作品に込められた想いについては、マヌエラ・メナのカタログ
・エッセイが秀逸ですので、是非ご一読頂ければ幸いです。

ちなみに、「ヴィラ・メディチの庭園」は、あのゴダールの「気違いピエロ」の冒頭場面、
ベラスケスの美しい描写そのものですよ・・・。

図録 拡大

2015年11月18日

プラド美術館展「見どころガイド」のご紹介!

皆様こんにちは。
本日は「見どころガイド」のご紹介です。
「見どころガイド」はプラド美術館展の見どころをわかりやすくまとめた鑑賞用ツールで、
一般版とジュニア版の2種類ございます。

見どころガイド 

見どころガイド ジュニア版

・展覧会鑑賞前の事前資料として
・ご来館時に持参し、実際に展示室で作品を鑑賞しながら参照する資料として
・鑑賞後、あらためて展覧会をふりかえって楽しむ資料として
 などの目的でご活用いただけます。

上記画像をクリックして頂き、ダウンロードして印刷し、観賞のお供としてご活用いただければ幸いです。

2015年11月13日

三菱一号館美術館のヴァーチャルツアーを体験してみませんか?

皆様こんにちは。

当館ホームページでは、「美術館ヴァーチャルツアー」を公開しています。映像は「三菱一号館美術館名品選2013」
(2013年10月5日~2014年1月5日)の展示風景。名品選をお見逃しの方、遠方にお住まいの方など、皆様いつでも
どこでも、館内を巡るように美術鑑賞をお楽しみいただけます!

ここで撮影裏話を少し。
館内をゆったりと歩くような映像を撮影するには、大掛かりなカメラ装置が必要です。
こちらは撮影風景の一コマ。特殊な台車に乗って廊下の撮影が行われました。
重い機材を長時間抱えて、美しい映像を撮影するカメラマンさんの技術にも
どうぞご注目ください!

ヴァーチャルツアー 撮影風景 20151113美術館ヴァーチャルツアーはこちらからご覧ください。

2015年11月12日

「聖書の話をもっと知ろう!」作品鑑賞システムのご紹介③(最終)

皆様こんにちは。
今回も引き続き、作品鑑賞システム「聖書の話をもっと知ろう!」のご紹介です。
本システムは、3階の資料コーナーとフォトスポットコーナーに併設されており、
大日本印刷株式会社協力のもと、プラド美術館展出品作品の中から聖書の主題が
描かれた17作品の物語をわかりやすく解説しています。
コンテンツ 修正ブログ用

◆前回の続き
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11:作品リスト及び図録NO.16
《十字架降下あるいは聖母の第五の悲しみ》 コレッジョ(本名アントニオ・アッレグリ、1489頃‐1534年)のコピー(作者不詳) 16世紀中頃
ゴルゴタの丘で十字架にかけられたイエスは、ついに絶命します。こうしてイエスは十字架上で、アダムとイヴの楽園追放に始まる原罪をあがなったのです。遺骸は隠れ信者のアリマタヤのヨセフとニコデモが下ろし、十二使徒では唯一ヨハネが立ち会ったと言われます。イエスの受難を目にした聖母は悲嘆のあまり気を失い、弟子のマグダラのマリアも涙にくれます。聖母が死せる我が子を抱く姿は、「ピエタ」(慈悲を意味する語)と呼ばれます。

12:作品リスト及び図録NO.2ab
《苦しみのキリスト》 聖カタリナの伝説の画家 1470-1500年
ムチや茨の冠などの受難具が描かれたこの絵は、イエスの受難を集約し、その悲しみを象徴的に表す作品です。十字架の道行きの途中で汗をぬぐってもらった布に顔が写った「聖顔布」や、十字架上で脇腹をさされた聖痕も見えます。受難の後、埋葬されたイエスは、三日目に復活します。復活の様子は聖書には記されていませんが、マグダラのマリアら三人の女性が墓を訪れたときには、入口の石がころがり、遺体はすでに消えていました。

13:作品リスト及び図録NO.45
《ノリ・メ・タンゲレ(我に触れるな)》 ニコラ・プッサン 1653年
イエスの墓が空になっていることを発見し、墓のある園で一人涙していたマグダラのマリアは、復活したイエスと出会います。思わず手をのばすと、イエスは「我に触れるな」と言いながら、後ずさりしました。「私はまだ父のもとに上がっていないのだから」と告げたイエスは、使徒たちにこのことを伝えるよう促します。イエスはその後も度々出現しますが、復活から約40日後、聖母や使徒たちが見守るなか、父なる神のみもとへと昇天しました。
我に触れるな ブログ用

14:作品リスト及び図録NO.29
《聖人たちに囲まれた聖家族》 ペーテル・パウル・ルーベンス 1630年頃
イエス・キリストの昇天後、その伝道活動は十二使徒に受け継がれます。ペテロはローマで初のキリスト教会を設立し、他の使徒たちも各地で宣教を行なって、信者を増やしていきました。布教の過程で、信仰と功徳に特に優れた人々が聖人として認められるようになり、この絵では、聖家族を中心に様々な時代の聖人たちが描かれています。幼子イエスの左でひざまずく女性は、イエスと「神秘の結婚」をしたという伝説をもつ聖女カタリナです。

15:作品リスト及び図録NO.6
《巡礼者姿の聖ヤコブ》 フアン・デ・フランデス 1507年頃
聖ヤコブは、もとは聖ペテロと同様にガリラヤ湖の漁師で、弟ヨハネとともに十二使徒の一人となりました。同名の使徒がもう一人いたため、大ヤコブとも呼ばれます。イベリア半島に伝道に行ったという伝説があり、エルサレムで殉教した後、現在のスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラの地に埋葬され、国の守護聖人となりました。この絵では、杖を手にした巡礼者姿で、サンティアゴ巡礼のシンボルのホタテ貝がついた帽子をかぶっています。

16:作品リスト及び図録NO.18
《祈る聖アポロニア》 グイド・レーニ 1600-03年
ユダヤ教徒やローマ帝国が初期キリスト教を迫害したこともあり、聖人のなかには殉教者も多数います。聖アポロニアは、3世紀頃、ローマ帝国のアレクサンドリアで殉教した女性です。歯を抜かれる拷問を受けた後、信仰に対して不敬な言葉を口にしなければ火あぶりにすると脅かされ、自ら炎に身を投じたのです。ここでは、救済を象徴する冠と殉教者を象徴するシュロの葉をもつ天使が、祈る聖女のもとに降りてくる情景が描かれています。

17:作品リスト及び図録NO.15
《聖プラキドゥス、聖フラウィア、聖エウティキウス、聖ウィクトリヌスの殉教》
コレッジョ(本名アントニオ・アッレグリ、1489頃‐1534年)のコピー(作者不詳)
16世紀中頃
4世紀にはキリスト教がローマ帝国の国教となりましたが、新たな地への布教はいまだ過酷なものでした。この絵の4人の聖人は、イタリアの聖ベネディクトゥスの弟子だった兄弟で、6世紀にシチリア島で異教徒によって斬首されました。2人の処刑はすでに終わり、恍惚の表情で殉教を待つ聖プラキドゥスと、今まさに胸をつかれた聖女フラウィアの姿が見えます。天使のかざす茨の冠やシュロの葉と白ユリが、殉教と救済を象徴しています。
エリギウス

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今回で、17作品の解説が終了です。ブログでご紹介する解説の他にも、実際のコンテンツでは、
17作品に関連する作品の解説など、さらに詳しい内容をご覧いただけます。実際にご来館の上
実際の作品とともに、コンテンツをお楽しみください!
聖書の話をもっと知ろう!

2015年11月10日

「聖書の話をもっと知ろう!」作品鑑賞システムのご紹介②

皆様こんにちは。
今回も引き続き、作品鑑賞システム「聖書の話をもっと知ろう!」のご紹介です。
本システムは、3階の資料コーナーとフォトスポットコーナーに併設されており、
大日本印刷株式会社協力のもと、プラド美術館展出品作品の中から聖書の主題が
描かれた17作品の物語をわかりやすく解説しています。
コンテンツ 修正ブログ用

前回に引き続き、コンテンツの解説文章をご紹介してまいります。
(コンテンツの順番と同様に、旧約聖書→新約聖書の順番でご紹介しております)
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6:作品リスト及び図録NO.7
《東方三博士の礼拝》(中央)、《12部族の使者を迎えるダビデ王》(左)、《ソロモン王の前のシバの女王》(右) 偽ブレス(ブレシウス) 1515年頃
救世主の誕生を星の教えで知った東方の三人の博士たちは、高価な贈り物をもってベツレヘムを訪れ、聖母に抱かれたイエスを礼拝しました。博士たちは、しばしば異なる人種と年代で描かますが、これは様々な民族の様々な世代の人々がイエスを信仰することを象徴するためです。この祭壇画の両翼には、旧約聖書に記されたイスラエル王国のダビデ王と、その息子のソロモン王が描かれています。二人は、イエスの父ヨセフの祖先にあたります。
東方のサン博士 ブログ原稿

7:作品リスト及び図録NO.13
《エジプトへの逃避》 エル・グレコ(本名ドメニコス・テオトコプロス)1570年頃
ユダヤ王であるヘロデ大王は、東方三博士から未来のユダヤ王となる救世主が誕生したと聞き恐れていました。三博士は、大王にイエスのことを報告せずに帰国しましたが、怒った大王は、ベツレヘム一帯の2歳以下の男児を皆殺しにするよう命じます。しかし、天使のお告げを受けたヨセフは、マリアと幼子を連れてエジプトに逃れ、虐殺を免れました。この絵では、二人をロバに乗せて急ぐヨセフが、頼りになる父として描かれています。

8:作品リスト及び図録NO.9
《洗礼者聖ヨハネと子羊》 アンドレア・デル・サルト 1510年頃
ヘロデ大王の没後、エジプトから戻ったイエスら家族はナザレに住みます。その後の生活はあまり知られていませんが、青年になったイエスは、ヨルダン川で浄めの儀式の洗礼を受けました。洗礼を施したのは、母のいとこのエリザベトと祭司ザカリアの息子ヨハネです。この絵の洗礼者聖ヨハネは幼き姿で、子羊は人類の罪をあがなうために犠牲となるイエスを象徴しています。洗礼を受けたイエスは、40日にわたり砂漠にこもります。

9:作品リスト及び図録NO.19
《聖ペテロの涙》 ドメニキーノ? 1640年頃
砂漠で悪魔の誘惑を退けたイエスは、人々に教えを説くようになります。数々の奇蹟を行ない、弟子も得ますが、ユダヤ教の祭司に危険視され、ついには「ユダヤの王」を名乗ったという罪で逮捕されます。十二使徒の一人ペテロは、仲間と思われることを恐れ、イエスのことを「知らない」と否認してしまいます。「鶏が3度鳴く前に私のことを否認するだろう」とイエスに預言されていたペテロは鶏の声で我に返り、後悔の涙にかられるのでした。
聖ペテロの涙 ブログ用 鑑賞システムで拡大すると、涙までしっかりとご覧いただけます!

10:作品リスト及び図録NO.11
《十字架を担うキリスト》 ティツィアーノ・ヴェチェッリオ 1565年頃
エルサレムで逮捕されたイエスは、ユダヤの大祭司やローマ総督の訊問を受け、死刑を宣告されます。恩赦の可能性もありましたが、群衆の要望で死刑が確定しました。イエスは、ローマの兵によってムチ打たれ、嘲笑され、茨の冠をかぶせられ、十字架を背負って刑場のあるゴルゴタの丘へと歩かされます。重い十字架に苦しむイエスを見て、女たちのなかには涙する者もあり、男では唯一、キレネのシモンという人物が手を貸してくれました。

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本コンテンツでは、展示作品を拡大し、細部までご覧いただくことが可能です!
表示された作品に触れると、拡大された絵画とその解説が表示されますので、
ぜひ実際にご来館いただき、作品の細部までお楽しみください!
利用状況 修正20151023

※7、8、10の作品画像は会場でご覧ください。

2015年11月2日

「聖書の話をもっと知ろう!」作品鑑賞システムのご紹介①

皆様こんにちは。
本日はプラド美術館展をより深くご理解いただくために館内に設置されているコンテンツのご紹介です。

3階の資料コーナーとフォトスポットコーナーにある、「作品鑑賞システム」では、
大日本印刷株式会社協力のもと、プラド美術館展出品作品の中から聖書の主題が描かれた
17作品の物語をわかりやすく解説しています。
コンテンツ 修正ブログ用

作品が描かれた背景を知ることで、作品への理解も深まります。
本コンテンツでは、展示作品を拡大し、細部までご覧いただくことが可能です!
表示された作品に触れると、拡大された絵画とその解説が表示されます。
利用状況 修正20151023

本ブログでは、コンテンツの解説文章をご紹介させていただきます。
(コンテンツの順番と同様に、旧約聖書→新約聖書の順番でご紹介いたします)

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1:作品リスト及び図録NO.44
《地上の楽園》 ヤン・ブリューゲル(2世) 1626年頃
聖書には、旧約と新約の二つの聖書があります。神による天地創造の「創世記」に始まる旧約聖書は、イエス・キリスト誕生以前のイスラエルの民の物語です。神によってつくられた最初の人間アダムとイヴは、エデンの園で幸せに暮らしていましたが、ヘビの誘惑に負け、禁じられていた知恵の樹の果実を食べてしまいます。罪を知り、楽園を追放された二人の子孫が人類です。この楽園の絵にも、ごく小さくですが、二人の姿が描かれています。
地上の楽園 ブログ用

2:作品リスト及び図録NO.48
《バベルの塔の建設》 ピーテル・ブリューゲル(2世) 1595年頃
地上で繁栄した人類は、天にも届く高い塔を建設しようと野心を抱きます。そんなおごりを戒めようと、神は人々の言葉を違えて混乱させました。意志を交わせなくなった人々は建設を中断し、各々の言語をもって各地に散っていきます。バベルの塔は、人間のおごりを象徴すると同時に、コミュニケーションの大切さや、世界に多言語が存在する理由も示しています。この絵では、傾く塔の中で働き続ける人など、様々な人物像が見られます。

3:作品リスト及び図録NO.2ab
《聖母の婚約》 聖カタリナの伝説の画家 1470-1500年
新約聖書は、イエスの死後、その生涯と教えが記された書物です。母マリアの物語は、主に外典の福音書等から知ることができます。イスラエルの民であるヨアキムとアンナ夫妻の娘マリアは、神に仕える子として神殿で育ちました。14歳のとき、天使のお告げを受けた祭司長が、町中のやもめを集めてマリアの婿選びをします。持参した杖に印があらわれたため、大工ヨセフが選ばれました。ちなみに前景左の人物は、この祭壇画の注文主です。

4:作品リスト及び図録NO.14
《受胎告知》 エル・グレコ(本名ドメニコス・テオトコプロス) 1570-72年
婚約したマリアのもとに、大天使ガブリエルが訪れ、「おめでとう、恵まれた方、主があなたとともにおられる」と告げます。男の子が生まれるので、イエスと名づけるようにと言われたマリアは驚き、とまどいますが、最後には「私は主のはしためです」と受け入れました。処女懐胎による救世主の誕生を告げるこの場面では、しばしば聖霊を表す白鳩が描かれます。マリアが読んでいたのは、旧約聖書のイザヤ書だったと言われています。
受胎告知 ブログ用

5:作品リスト及び図録NO.20
《眠る幼子イエスを藁の上に横たえる聖母》 カルロ・マラッティ 1656年頃
イエス誕生の頃、ローマ帝国全土で国勢調査が行なわれ、ヨセフは臨月まぢかのマリアをともなって、先祖ダビデの地ベツレヘムに登録に出かけました。マリアはベツレヘムで出産しますが、宿屋に部屋がなかったため、生まれたばかりのイエスは布にくるまれ、家畜
小屋の飼い葉桶に寝かされたといいます。その夜、天使のお告げを聞いた三人の羊飼いが贈り物をもって祝いに駆けつけました。救世主の降誕を祝うこの日がクリスマスです。
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ご来館の際には、ぜひ実際に触ってお楽しみ頂ければ幸いです。
引き続き、解説文章をご紹介してまいりますので、お楽しみに!!

【プラド展作品リスト】
こちらからダウンロードいただけます。

※2、3、5の作品画像は会場でご覧ください。