館長メッセージ

館長メッセージ

三菱一号館美術館は、2010年4月6日に開館した新しい美術館です。もともと、明治期の丸の内の都市計画には、美術館建設計画の萌芽がありました。
やがてほぼ100年を経て、初期の丸の内の都市構想の一端がこの美術館の開館によってようやく実現したことになります。
お陰さまで、開館記念展となった「マネとモダン・パリ」展以来、当館では毎年ほぼ3~4本の企画展を催し、
すでに100万人を超す美術愛好家の方々が来館されています。赤煉瓦造りの美術館の建物は、
イギリス人建築家ジョサイア・コンドル(1852~1920)によって1894(明治27)年に建てられたオフィスビルを、原設計に基づき復元したものですが、
その中で展覧される多彩なテーマの展覧会は、今や、国際的ビジネス地区である丸の内の街と文化を語る上で、欠かせない存在となっているのではないでしょうか。

当館の催す企画展、そしてトゥールーズ=ロートレック、オディロン・ルドン、フェリックス・ヴァロットンを始めとする
世紀末の美術家たちの作品コレクションは、明治期以来、世界に開かれた日本の窓口のひとつとして発展してきた丸の内の地理的・歴史的特性と、
さまざまな形で通底しています。とりわけ19世紀から20世紀にかけては、都市と美術の深い関わりから、そしてさらに、欧米と日本やアジア、
アフリカなどの美術との緊密な交流から、多くの豊かな創造がなされたからです。
日々の何気ない生活のリズムで訪れることができるのと同時に、一歩中へ入れば鮮烈な美、新たな価値観との出会いがある美術館。
丸の内に働く人々、さらには世界各地から東京を訪れる人々の眼と心に豊かな潤いをもたらしながら、新たな創造的未来に向かって開かれた美術館。
今後とも、三菱一号館美術館がこうした理想に限りなく近づき、皆様から親しまれる存在となっていくことを確信しています。

2013年4月

三菱一号館美術館 館長 高橋明也

高橋明也
美術史家、三菱一号館美術館初代館長。東京都出身。
東京芸術大学大学院美術研究科修士課程修了。ドラクロワやマネを中心とする19世紀フランス美術史専攻。
1980年より2006年まで国立西洋美術館研究員。
1984年から86年にかけて文部省在外研究員としてパリ・オルセー美術館開館準備室に客員研究員として在籍。
国立西洋美術館主任研究官・学芸課長を経て2006年、三菱一号館美術館初代館長に就任。
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックによるポスター及びリトグラフ250点あまりの
「モーリス・ジョワイヤン コレクション」を館として購入、所蔵作品の核に据えた。
2010年10月フランス芸術文化勲章シュヴァリエ受章。